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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

中国封じ込めと新たな日米関係

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 泥の中に根を張り咲き誇る蓮の花――アウンサンスーチーさんはその大輪のよう。美しいアウンサンスーチーさんの肩を優しく抱き抱えるオバマ大統領の写真が19日の各新聞のトップを飾った。
 翌日20日に、ある研究会でケント・カルダー氏にお会いした。カルダー氏はわが母校、ジョンズホプキンズ大学高等国際関係大学院(通称SAIS)のライシャワー東アジア研究所の所長を務められている知日派である。
 カルダー氏は米中関係、日中関係、日米関係、それぞれが摩擦を抱える複雑な三角関係に言及した。特に、中国から見ると、オバマ大統領のミャンマーやタイへの訪問からしても、米国は明らかに中国封じ込めに動いている。米国は、ミャンマーやタイに加え、インドネシア、モンゴルや中央アジア諸国(タジキスタンやウズベキスタンなど)といった中国の周辺国と友好関係を深め、経済的な包囲網を築いているという。
 さらに、米国は日中間の戦争を望んでいない。GDP世界第二位の中国と第三位の日本が戦争状態になれば、世界の安定を崩すし、世界経済にとっても大きな損失になる。だから、クリントン国務長官は「断固日本をサポートする」とし、強固な日米同盟を演出している。
 カルダー氏の意見を聞くと、中国からは強固な日米関係に見えるようにふるまうことが日本には必要だと思う。ところが、日本にはきちんと危機管理メカニズムがない。外交情報筋と警察との協力もうまく機能していない。日本がアジア共同体のなかでリーダーシップを発揮しようにもその根拠づくりができていない。
 その理由は、カルダー氏によれば、日本の政治構造や国会運営に問題がある。官邸に十分なスタッフがいない、国際交流が足りないなどといったことは日本サイドで努力すべき組織運営上の問題である。
 12月16日の選挙後、日本では新しい政権となる。日米関係修復といっても日本サイドで努力すべき課題は多い。まずは自主自立国家としてのアジア地域への貢献や、新しい日米関係の構築といったアジェンダ作りだろう。「財政の崖」に対処する米国は軍事予算を減らしていくなかで、日本が影響力を発揮できるチャンスでもある。

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