グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

デフレ下のスタグフレーション

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 米国も日本も凄い勢いで量的緩和を進めています。経済学の常識では、こんなにマネーの供給が増えればインフレが起こりそうなものです。しかし、マネーは実体経済には向かわず、デリバティブ市場など金融の内輪だけで激しく回転して相場を荒らします。
 円安で原料費などの輸入価格が上昇し、貿易赤字が続いています。しかし、企業は競争のためコスト高を消費者の価格に転嫁できずにいます。こうした価格圧力は企業経営を圧迫し、経営者は賃金を上げるまでは至りません。一方、家計では、食費やガソリン、電力も値上がるので、可処分所得が目減りします。将来の生活には不安が渦巻いています。企業部門にとっては価格破壊が続くという意味ではデフレでありながら、家計にとってはインフレと失業というスタグフレーションが同時に進行しています。従来のマクロ経済学の理論ではなかなか説明しにくいのが現実です。
 金融市場では、グローバル・マクロ戦略ヘッジファンドが、金利や為替といった従来のマクロ要因よりも、マーケットのリスク・オンか、リスク・オフ(RoRo)に注目するスタイルに変わっています。マーケットのリスクが高まると、株などリスクの高いアセットを売り、債券など安全資産を買うという戦略です。
 金融緩和でお金がじゃぶじゃぶの状況で、多くのグローバル・マクロ・ファンドが同じようなRoRo戦略を取るなか、ヘッジファンドの素早い一斉の動きが、マーケットのボラティリティを高めます。また、そのことでヘッジファンドは収益を上げにくくなっています。
 投機的な行動がデリバティブ市場で繰り返されると、日経平均株価が1000円も下がるという急激な相場展開が幾度となくやってきます。その中で運用者や投資家は淘汰されていくのが常です。
 これまでの円安・株高に乗じたジョージ・ソロスらは、こうした展開をオフサイドから眺めています。株式相場というよりもデリバティグ市場が先行する相場展開が続き、レバレッジの高い分、損失が膨らむ傾向が強いです。

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