日本のQEは道半ば、マーケットと対話しよう
この数週間の急激なマーケットの動きをまとめると、1)新興国通貨の下落、2)日本株の下落、3)米国債利回りの上昇、4)インフレ懸念が弱まる、5)ユーロ・円に対してドル安が進んだ。以上は、FT紙のベテラン、ジョン・オーサーズ記者 ”At times like these, avoid those who say they know” (FTウィークエンド版6月15日)からの一部引用です。
オーサーズ記者は「無知であることを知る」ことは恥ずべきことでないのだと哲学的に述べています。じゃぶじゃぶの投資マネーが百鬼夜行のように世界市場を行き場を求めて駆け巡るーこの状況を正確に読み取ることは困難です。
そのうえで、オーサーズ記者は、債券市場が既にデフレ予想のもとに動いていると指摘します。
私はこの点に注目します。かつてはBRICsと華々しく世界経済にデビューした新興国は、勢いが弱まってきています。中国経済はスローダウン、ブラジル、インド、インドネシア、トルコも成長力が鈍っています。欧州全体の停滞も歯止めがかからず、米国の失業率も期待ほどのピッチでは改善されていません。
インフレを起こして市場や景気をコントロールできるという前提に立った金融政策こそ、無知の知。ウォンジンローア博士も指摘しているとおり、FRBは毎日マーケットとの対話をしています。日銀も「上から目線」の金融政策ではなく、もっとマーケットとの対話が必要だと思います。