ウクライナの危機をはじめ、国際情勢が大きく動いています。国際金融市場にどのような影響が及ぶのか、大変注視しています。
例えば、ウクライナの危機に端を発し、欧米はロシアの資産凍結に加えBank Rossiyaのマスターカードとビザカードの決済を止め、ロシアを兵糧攻めにしようとしています(FTウィークエンド版3月22/23日記事 “Russian shares hit as sanctions bite”)。ロンドンではロシア人富裕層が贅沢品の消費を控え、高級品の売上が既に減少し始めています。欧米、アジアの不動産市場でもまた、ロシア・マネーが縮小する影響を受けると見込まれます。
今週にかけて気になるポイントは以下の通りです。
・ 先週19日FOMCにおけるイエレンFRB議長の注目発言。記者との質疑応答で、「量的緩和縮小と金利上昇の時期」についての質問を受け、同議長は「6ヶ月くらい」と答え、「今年秋口まで」と具体的な時期を示しました。このことで、「来年の秋口くらいまでに」と予想していた量的緩和の出口が、かなりスケジュールが前倒しになった感じがします。
・ 翻って日本を見ると、黒田日銀総裁が就任一年を迎えます。4月の消費税増税以降、アベノミクスへの懸念が高まれば、日銀のいっそうの量的緩和拡大が期待されます。そして、その出口戦略は?
・ 米中関係では、ミッシェル・オバマ夫人がお嬢さん二人とお母さんを連れて中国を訪問しています。習近平夫人との会見を見て、古いフランス映画「女だけの都」を思い出しました。女性のほうが危機には機転が利いて、うまく取りまとめる能力が優れているというストーリーです。
・ Strategic Forecast誌によれば、米中の「ファーストレディー外交」は、中国が「米国と同等に付き合っているのだ」という大国の体を国内に見せつけるPRと解釈されています。大きな経済改革を迫られる中国の困難を見るにつけ、「中国メルトダウン」は避けなくてはならないという米国の判断と考えられます。
・ 24−25日には、オランダのハーグで核安全保障サミットが開催されます。ウクライナから中国、朝鮮半島に至るユーラシア大陸では複雑系の少数多民族群が導火線となり同時多発的に不安定化の波を起こそうとしています。北朝鮮はロシア、中国に挟まれ、北太平洋の安全保障において出口を探しています。米・日・韓の対談もその流れの上で策を求めます。
・ さらに、ユーラシア大陸全体に弧を描くように拡がる大きなうねりは、中東地域にもさらなる不安定化をもたらしています。23日、トルコ軍がシリア軍戦闘機を撃墜しました。トルコ政府はTwitterを禁じるなど国内でジャーナリストや言論の自由への弾圧を強めています。
・ 自由と民主を求める政治運動は台湾でも起こっています。中台関係をめぐり、民衆と学生が国会を占拠し、内閣に突入し警官隊と衝突しています。そして、親日派の台湾は日本へ支援を呼びかけています。
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