先週のマーケットでは、FRBの政策決定会議(FOMC)でイエレン議長がゼロ金利解除のタイミングをどう表現するかに注目が集まった。利上げの時期までを示唆する「忍耐強く」という文言は取り外されたが、景気動向を慎重に見極めるFRBの姿勢がマーケットに伝わった。
先進国G7が財政赤字を抱え、成長が滞るなか、世界の投資マネーは利上げ姿勢を示す米国に流入している。米国へとマネーが集中すれば、米以外の国々への投資促進が妨げられる。G7では、日本を筆頭に少子高齢化が進む。高齢者は長年の貯蓄と年金で日々の生活を支えているので、爆買するような需要はなかなか出て来ないし、そのうえ、若者層は失業の問題を抱え、フリーターなど生活の基盤が弱いので、内需創出もなかなか進まない。そんな経済状況でも、金融市場では、リーマンショック後の量的緩和で、お金が一層じゃぶじゃぶの状態にある。これに原油安も加わり、中国までもがデフレ懸念に直面している。
こうした状況下、米ドルへの集中とドル高は、米国内の輸出企業の競争力を削ぎ、かえってインフレ抑制効果で低金利へと導くことになる。その一方で、米国株式市場は上昇し、過熱感が見られる。この一週間の流れをみると、先を見越したヘッジファンドや大手機関投資家の短期資金は、米国株から割安感のある欧州株や中国株へとシフトしている。また、FRBの利上げが早期でないと見込んだマネーが、米国債へ流入している。さらに、マイナス金利となったユーロで借り入れ、高利回りの通貨や債券に投資する「ユーロ・キャリートレード」も活発である。相も変わらずじゃぶじゃぶの市場で、短期の投機マネーは債券バブルを起こし、高い利回りを求めて積極的にリスクを取りに動き回っている。しかも、投機マネーの機敏な動きの先には、ギリシャ問題やウクライナなど多くの地雷が埋まっており、国際金融市場の情勢に対して警戒感も高まっている。
バフェット氏も米国株の過熱感には警鐘を鳴らしている。大手ヘッジファンド運用会社ブリッジウォーター・アソシエイツのダリオ氏もまた、FRBによる利上げと引締策が「1937年ショック」を引き起こすのではないかと懸念を示している。
http://www.ft.com/intl/cms/s/2/7a535d24-ccb7-11e4-b5a5-00144feab7de.html#axzz3Ujj9W2tW
1929年の大恐慌から8年後の1937年に、金融市場は大きく下げ、二番底を打った。そして、二番底を這い上がるその先には第二次世界大戦があった。第二次大戦の破壊を経てようやく、世界経済は戦後復興から新しい息を吹き返した。
今年はリーマンショックから8年目となり、世界情勢もまた、ISや中東メルトダウンなど、キナ臭い。歴史は繰り返すとしても、次の大きな「二番底」を這い上がる先に第三次世界大戦があってはならない。今総力戦の全面戦争となれば、核戦争で人類そのものが滅亡してしまう。世界平和があってこその国際金融市場である。
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