高まる朝鮮半島リスク
今週になってから、シリアではアサド政権側がサリンガスを使用するなど、状況が悲惨さを極めている。その報復かどうかは定かではないが、ロシアではセントペテルスブルグで地下鉄テロ事件が起こった。さらに、5日朝、北朝鮮が弾道ミサイル1発を発射した。6、7日に予定されている米中首脳会談の直前に、挑発行為に出たと報じられている。
米中首脳会談も日米首脳会談と同様、フロリダのトランプ氏の別荘で行われる。北朝鮮は、大量の米国債を保有する日中に対米貿易黒字の不均衡是正を迫る米国にとって、脅威を振りかざす「交渉カードの一つ」にすぎなかった。しかし、今や北朝鮮の弾道ミサイルは米国本土に着弾するほどの技術革新を遂げ、米国にとって深刻な脅威になっている。米国はこの脅威にどう立ち向かうか?
先だってティラーソン国務長官が日中韓を訪問したさい、「軍事行動も選択肢から排除しない」という主旨の発言をした。トランプ大統領が「禁断のカード」を切る可能性があると、ロイター記事も指摘している。
コラム:トランプ大統領、北朝鮮に「禁断のカード」切るか
http://jp.reuters.com/article/apps-northkorea-idJPKBN17005W?pageNumber=1
最悪のシナリオはいつか?4月15日の金日成生誕記念日前後か、あるいは米韓合同軍事演習がそのまま本番になり、休戦状態が終わり、朝鮮半島は再び戦場となるのか?その場合、在日米軍基地が狙われ、日本に大きな被害が及ぶのか?
こうした地政学リスクの高まりと直接関係なさそうなある動きに、筆者は注目している。それは、IRカジノ法案の成立である。さらに、マイナンバー制度が徹底され、パチンコ業界のウラ資金が締め出される。米国は同時多発テロ以降、テロリストの資金洗浄に尽力してきた。日本のウラ金融もそのターゲットになったのである。地政学リスクの面でも、資金面でも日本は米国国防の最先端にある。
非常時の場合、ドル円が110円を割り込めば、105円まで一気に円高が加速しそうな気配である。まずは、米中首脳会談の行方、金曜の米国雇用統計に注目したい。
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