北朝鮮情勢は山場へ アメリカの混乱とそれに乗じる国々
風薫る5月。米国では29日がメモリアルデー(戦没者追悼記念日)である。
トランプ大統領はこの20日から中東へ外遊し、中古武器11億ドル近くをサウジに売却し、資金の回収に勤しんでいる。
21日には再び北朝鮮がミサイルを発射した。空母ロナルド・レーガンが朝鮮半島に接近する今週半ば辺りに、緊張が高まるだろう。ちょうどトランプ氏がイタリアサミットに出席する26-27日と呼応している。
トランプ政権はウォール街(ほぼゴールドマンサックス)出身者と元軍人で固められ、外交はティラーソン国務長官(元エクソンモービル会長)との二人三脚である。トランプ氏の瀬戸際外交のキーワード(原油、マネー、武器)は地政学リスクとシンクロしている。
筆者は、「トランプ氏が国家のために果たす役割は、債務回収、あるいは借金棒引きである」と書いてきた。不動産ビジネスで何度も破綻を経験した彼は、契約を破ることも、借金を踏み倒すことも、破綻しても生き残ることを経験してきた。
そんなトランプ氏も国内ではFBI長官を解任したことから、弾劾を受ける可能性が高い。「ロシア・ゲート」で揉みくちゃになる前に、彼は大きな賭けに出るかもしれない。そして、北朝鮮や中国、ロシアはその機を狙い、自国に有利な状況を作り出そうとするだろう。すなわち、北朝鮮の現政権は堂々と核開発を続け、中国は台湾を併合し、南沙諸島に侵攻し、ロシアは経済制裁解除を求めるだろう。
最悪の場合、金融市場は一時混乱し、円高が進行し、日本がとばっちりを受けるだろう。そうならないようにと警告の意味を込めて、筆者は昨年『円消滅!』を著した。日本が第二の金融敗戦となれば、今の一等国の地位から転落してしまう。今の内閣の力量ではとても危機の舵取りは出来ないだろう。
一方、米国はどうか。トランプ氏は弾劾・罷免され、ペンス大統領の登場となるかもしれない。それでも米国の国家戦略は変わらず、十分成長していくだけの力がある。
メモリアルデーまでの1週間が山場となるだろう。
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