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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

トランプ大統領を待つものは?

 トランプ大統領は13日(月)に東アジアサミット最終日を急遽キャンセルし、即座に米国へ戻った。同日の午前(日本時間)に、トランプ長男がウィキリークスと通じていたという緊急ニュースが流れた。アトランティック誌が、トランプ長男がウィキリークスとやりとりしたメールを暴露したのだ。そのタイミングは、東アジアサミットでプーチン大統領と言葉を交わした直後だった。これは、ロシアの罠とみるのが妥当ではないだろうか。

 昨年、トランプ長男は、父の大統領戦勝利を目指してロシアからの情報を得ようと、ウィキリークスからの接近を許した。そして、トランプが大統領になった暁には、創設者のオーストラリア人アサンジ氏を米国の駐豪大使に任命するようにといった政策をウィキリークスから要求されていた。実際、昨年10月10日に、トランプ氏は”I love WilkiLeaks!”と公けに宣言している。

参考記事 “The Secret Correspondence between Trump Jr. and WikiLeaks” (11/13付)
https://www.theatlantic.com/politics/archive/2017/11/the-secret-correspondence-between-donald-trump-jr-and-wikileaks/545738/

 ロシアゲート疑惑では、昨年大統領選挙の選対本部長マナフォート氏やフリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)に捜査が進み、トランプ自身への弾劾が近づいている。

 トランプ大統領は帰国と同時に多くの批判と敵に囲まれる。問題は、大型減税などの経済政策が遅れ、株式市場に失望感が広がる可能性である。米国株式市場は、企業収益の堅調さに裏付けられているものの、原油高と「戦時の株高」が顕著で、米国の原子力空母三隻が臨戦態勢にある北朝鮮情勢のおかげである。

 10月に金融危機は起こらなかったが、危機が去ったわけではない。むしろ、戦争の時が近づいているのかもしれない。米国国防省は北朝鮮への攻撃は30分から1時間で済むと計算している。情報戦が実戦になるような道筋がつけられているように見える。その道筋では、じわじわと円高へ振れ、株価は短期間だが、いったん調整局面に入るだろう。

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