トランプの先に見えてくる新軍産複合体
2018年も昨年同様、トランプ旋風が世界に新秩序の始まりを知らしめるだろう。米国内では、トランプ減税が短期的には個人消費を押し上げ、企業の設備投資を刺激すると見られる。国内景気を牽引するのはAmazon GoのようにB2Cでビッグデータを集積し需要を先取りするIT企業群で、今やニューエコノミーがオールドエコノミーの生産体制を主導するという新しい産業構造に移行しつつある。
この新しい産業構造は、プラットフォーム・エコノミーやシェアリング・エコノミーという形ですでに拡散・浸透している。AIやIoTは「産業連関のパラダイム・シフト」という大きな枠組みでとらえるべきである。
新しい産業構造を率いるグーグルのような巨大IT企業、そして、財務省と国防省とが協力し作り上げる新たな軍産複合体の姿が見えてくる。トランプ政権はこの新軍産複合体が目指す「アメリカ第一主義」を実現する政権である。
FRBパウエル新議長は実務家であり、トランプ政権の意向に沿う形で、おそらく年に3回は利上げを行うだろう。3月には今年最初の追加利上げが予想される。
一方で米国には不安定要素がある。第1に、トランプ大統領個人の資質と政権内部の混乱である。数日前に政権内幕を暴露した「炎と怒り」が出版されベストセラーになっているが、ロシアゲートで政権中枢に捜査が迫る中、人騒がせな内輪揉めはまだまだ続くだろう。第2の不安定要素は、朝鮮半島情勢への対応である。米国の対外戦略の主たるターゲットは中国である。
日本にとって今年は、日米同盟の「デカップリング」(切り離し)が明確になるだろう。米国は日本に「覚醒」を求め、中国に対する牽制など安全保障でより大きな役割を担うことを望んでいる。尖閣諸島がそのキモになりそうだ。
年明け、北朝鮮が韓国とホットラインで平昌冬季五輪に選手団を派遣する可能性も含め、直接的な対話が始まった。戦争回避への期待から、マーケットはリスクオンの流れで上昇している。しかし、北朝鮮では核実験の兆しがあり、要注意である。
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