“Sell in May and go away” は正しいか?

公開日: : 大井リポート | 

5月13日に、SAILヘッジファンド・アクセスセミナーを開催しました。講師の小松啓一郎博士からは、ウクライナや中国など国際情勢について貴重な現場報告がありました。90分に及ぶ講演内容をすべて網羅できませんが、私が気づいた点をまとめます。

  • プーチン大統領は国内の人気取りに注力。彼はチェスプレーヤー(先を読む戦略家)ではなく、寝技が得意な柔道家(その場を勝てばよい)である。
  • ロシアの核ミサイルのほとんど部品がウクライナ製であり、しかもウクライナの独自技術による。
  • ウクライナの欧州との統合を目指す親EU(=反ロシア)勢力が高まり、ロシアからの分離を認めれば、モルドバやジョージアも連動し、さらに、バルト三国、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニアまで広がり、歯止めがかからない。ロシアは大分裂する。そうかといってソ連時代の共産主義に戻ることはできない。そこで、白系ロシア民族を中心とした非共産主義を唱える「新ユーラシア主義」の台頭がみられる。この御旗のもとにロシアは統一できるだろうか。
  • ロシアは技術革新のために資金と人的資本を必要とし、中国は資源確保を求め、両国が反米で利害が一致すると、日米にとって中ロ関係は大きな脅威となる。今後の上海協力機構の動きを注視。

ところで、昨年12月20日に、「中国がウクライナに『核の傘』を提供へ、中国・ロシア関係の懸念に」という記事(高口康太記者)が公表されました。

中国がウクライナに「核の傘」を提供へ、中国・ロシア関係の懸案に

2013年12月5日、中国を訪問したウクライナのヤヌコビッチ大統領は習近平国家主席と会 談。中国・ウクライナ友好協力条約を調印しました。韓国紙・朝鮮日報日本語版はその条約に「中国がウクライナに『核の傘』を提供する条項が含まれている」 と報じています。(文:高口康太)

引用元: 中国がウクライナに「核の傘」を提供へ、中国・ロシア関係の懸案に – ライブドアニュース.

今年はウクライナ政府債償還が相次ぐことから、債務不履行を懸念したウクライナが中国に資金援助を要請し、その見返りに核開発技術を提供すると深読みできる内容です。いずれにせよ、先月IMFは170億ドルの緊急経済支援を決めました。ウクライナ情勢は穀物、資源、核開発のあらゆる面において諸外国と複雑に絡んでいます。

国際金融市場に目を向けると、15日(木)の日米欧の株式市場は揃って下げ、グローバルマネーは米国債、独国債、英国債といった安全資産へ流入しました。ECBがさらなる量的緩和を行うという見方から、これまで景気回復を見込んで株式ロング、債券ショートのポジションが一転し、株式を売り、債券を買い戻す動きがあったと報じられています。加えて、米国債では短期金利が長期金利を上回る逆イールドカーブにシフトし、景気の先行きに弱気の見方が拡がっています。(FT紙 “Equities sell-off accelerates as wary investors head for bonds”, May 16)

また、ロシアは3月に米国債(短期債)を1004億ドル売り越し、保有する米国債の五分の一を売却したと報じられています。国際情勢に乗じて超短期の投機マネーの激しい動きは、小さなきっかけでもsell-off 売浴びせに転じる可能性があります。

マーケットには「Sell in May」(株は5月に売れ)という格言があります。Bank of New York Mellonの通貨ストラテジスト、サイモン・デリック氏はこのところの相場の動きが2007年から08年にかけて類似していると指摘し、「5月に売浴びせ、さらに9月にも売浴びせ」(Sell in May and go away, but remember to come back in September「5月に売り、9月に戻ってくる」にひっかけたもの)と警告しています。

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