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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

6月後半マクロ的見通し

 国家金融資本主義の時代、経済、金融、国際政治、地政学リスクは全てパッケージで捉えないと世界の流れが見えて来ない。目下の流れは引き続き米露をめぐる「マネー、原油、武器」であり、その要に今週も北朝鮮の存在が大きい。

 6月15日、北朝鮮に滞在していた米国大学生が1年5ヶ月経って釈放され昏睡状態で帰還した。肉体的には外傷がないというが、脳を破壊し、人格を抹殺する人権に対する恐ろしいテロが立証されたことになる。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/06/post-7805.php

 6月16日、トランプ大統領が独断でロシア制裁法案を解除した場合に見直しの権限を議会に与える法案が米上院を通過した。ロシア寄りのトランプ陣営に対する対抗措置とみられる。折しもロシアゲートで大統領の司法妨害に関する調査が始まっている。

https://www.bloomberg.com/politics/articles/2017-06-15/senate-votes-to-limit-trump-s-ability-to-lift-russia-sanctions

 FRBは予想通り利上げに踏み切り、金融政策の正常化に向かおうとしている。しかし、日米共に経済のファンダメンタルズはそれほど底堅いというわけではなく、地政学リスクにもかかわらず株式相場はフワフワ上昇を続けている。

 北朝鮮情勢と米ロ関係は、原油価格に影響を及ぼす。原油エネルギー関連はロシア輸出の7割を占め、ロシア経済は原油価格動向や欧米による経済制裁の行方に依存している。

(ロシア経済については、志波和幸著「ロシア経済の現状と課題(2016.7.29)」国際通貨研究所 参照 https://www.iima.or.jp/Docs/newsletter/2016/NL2016No_16_j.pdf )

 目下、原油価格はバレル当たり45ドルを割り込んでおり、30ドル台が見えてくると米株式相場にとって大きなマイナス要因となると思われる。

 6月後半、米国が北朝鮮に囚われている三人(?)の人質をどのような形で取り戻せるのか。廃人となって帰国した大学生を巡り、トランプ政権が今後どのような外交を展開するか。

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