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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

ミレニアル世代はラストベルトを目指す

 米国株式相場は大型減税の効果を期待し、高値を更新して来た。原油も安定した高値をつけている。北朝鮮の脅威にもかかわらず、ティラーソン国務長官辞職の噂が流れたにもかかわらず、はたまた、トランプ大統領の元側近マナフォード選対本部長とフリン前補佐官がモラー特別検査官に全面協力し、トランプ娘婿のクシュナー氏にまでロシアゲートの捜査が及んでいるにもかかわらず。この圧倒的強気の根拠は何か?

 筆者は米国の中堅企業の再生に特化したプライベートエクイティ(PE)ファンドを調査している。内部収益率80%という素晴らしい実績を誇るあるPEファンドは、IoTやAIを駆使して中西部の地味なオールドエコノミー型同族会社の経営合理化を推進し、ピカピカの企業に再生させている。 

 実際、中西部の都市ではデジタルサービス・セクター(ソフトウェア、データプロセシング、コンピューターシステムデザインなど)を担う若手専門家を積極的に招聘し、地元経済を活性化させている。

 これまでのIT革命ではシリコンバレー(サンフランシスコ)やニューヨーク、シアトル、オースティン(テキサス州)といった特定の都市が優れたデジタル人材を引きつけ、繁栄して来た。2010年以降は、インディアナポリス、ノースカロライナ、ウィスコンシン、ユタ、ケンタッキー、フロリダ州にデジタルサービス業が拡大し、中西部の都市がミレニアル世代(1980年代から2000年代に生まれた世代)を引きつけている。この世代の先頭集団は30代半ばに差し掛かり、家族を形成し、持ち家を取得する年齢に来ている。ミレニアル世代に適切な教育と職場を提供すれば、彼らが地域経済を支えてくれるのだ。

 トランプ大統領の「ラストベルト」に職をもたらすという公約は、ミレニアル世代に波及し、中西部に好循環を生み出しているようだ。

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