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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

年末年始の混乱、そして、2021年もウィルス戦争は続く

 今年、世界はコロナウィルス戦争に見舞われた。加えて、最近では、米国国務省を始め主要な諸官庁がサイバー上のウィルス攻撃に見舞われている。コロナウィルスは中国からやってきた。今回の大規模サイバー攻撃はロシアからと推定されている(プーチン大統領は関与を否定しているようだが)。

 ウィルスは目に見えない。その標的はトランプ政権だ。12月22日に、トランプ大統領は、議会が可決したコロナ追加経済政策に対して、拒否権を発動した。また、23日には、国防権限法案への拒否権を行使すると表明した。

主要メディアは、クリスマス前に国民一人当たり600ドルの給付金が来ない、これはトランプが拒否したためだと、トランプを悪者に仕立てて報じた。実際、トランプは「600ドルでは少なすぎる、2000ドル支給すべきだ」と議会に突き返しているのであって、彼のスピーチを聞けば、その理由が理解できる。

 トランプ大統領の22日のスピーチをまとめると、以下のようである。

「今回の追加経済政策は、米国民が緊急に必要としているコロナによる苦境からの救済策である。しかし、民主党は、5000ページに及び法案にコロナ救済とは全く関係のない予算を数多く盛り込んで、国民の目を騙して通そうとした。

 例えば、総額9000億ドル※の予算には、エジプトとエジプト軍への兵器装備費用として13億ドル、ベリーズ、コスタリカ、エルサルバドル、ホンデュラス、ニカラグア、パナマへの支給金5億500万ドル、スミソニアン(ワシントンDCの博物館)へ10億ドル、ナショナルギャラリーオブアートに1億5400万ドル、魚の養殖に250億ドル、不法移民の家族への手当に一人当たり1800ドルもが充てられているなどなど、正当な理由が分からない用途への金額が詰め込まれている。

そうしたことを考えれば、国民への支給額600ドルは、馬鹿げて少なすぎる。一人当たり2000ドル、夫婦で4000ドル支給すべきだ。」

https://www.rev.com/blog/transcripts/donald-trump-video-speech-transcript-on-covid-relief-bill-december-22

 主要メディアは、大統領自身の言葉を正確に伝えていない。しかも、民主党がなぜ用途不明の巨額の資金を要求するのか?その理由を国民に知らせていない。ここには日本にも共通した問題がある。それは「族議員」が各官庁の利権と軍産複合体と絡んで既得権益にカネを回すシステムがあり、国民の税金は吸血鬼のような既得権益集団に吸い取られ、本当に貧窮している国民には回らないように仕組まれている。このような事実を、トランプ大統領は白日の下に晒したのだ。

 だが、現実は厳しい。今年2月2日に成立した「コロナウィルス支援救済・経済安全保障案(CARES法)」の二つのプログラムが12月26日に終了した。失業保険給付(Pandemic Unemployment Assistance: PUA)と緊急失業補償(Pandemic Emergency Unemployment Compensation: PEUC)による支給金が終わったのだ。

 これによって12月27日から1200万人が支援を失った。バンク・オブ・アメリカの推計によれば、1200万人分の所得損失額は390億ドルに及ぶ。この損失額は、2021年第1四半期GDPを1.2%押し下げるという。そして、1200万人のうち730万人は「ギグワーカー」(ネット上の単発の仕事を請負い、空き時間を利用して働く人たち)で、彼らの生活困窮は目に見えている。

 加えて、12月31日には、強制退却の一時猶予(Eviction moratorium)、住宅ローン返済猶予(Mortgage forbearance program)、学生ローン支払いの一時停止(Suspension of student loan payment)といったプログラムが終了となる。

 議会においては、このまま予算が宙ぶらりんになると、12月29日には政府閉鎖になると報じられている。

 このように、年末から年始にかけて大きな混乱が予想される。トランプ大統領は、1月6日に国民に呼びかけ、ワシントンDCで「大きな支援」を訴える予定だ。2021年もウィルス戦争は続く。目に見えない敵とは?メディアはなぜフェイクニュースを流し続けるのか?国民はどこまで奴隷化されるのか?こうした実態がさらに明らかになってくるだろう。

12/28 20:16 追記

 トランプ大統領は27日夜(日本時間28日午前)、コロナ追加対策法案に署名し、国民への給付金が確定しました。また、年末の政府閉鎖も避けられます。なんとか年末年始は一息つけるかもしれません。

※記事公開時に900億ドルとなっていたところ9000億ドルに修正いたしました。

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