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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

【2019年の展望】米国トランプ革命が始まる

 年初にかけて米国では連邦政府機関の閉鎖が続いている。2020年11月には再び大統領選挙があり、19年はその前哨戦の年。米国では最大級のサイバー攻撃の警戒が高まっている。攻撃は主に中国、ロシア、北朝鮮からやってくる。

 年末にYoutubeの動画(https://youtu.be/t-ZuT0Ui36c)では、トランプ大統領弾劾の可能性について言及したが、内外の敵に囲まれたトランプ氏に残された時間は2019年だけ。この機に、彼は一挙に行動に出てミッションを果たさなければならない。

 トランプのミッションとは、20世紀の軍産複合体制に付着した様々な既得権益の枠組みを壊し、21世紀型の新しい効率的な国家運営体制にふさわしい権力構造に組み替えることだ。

 21世紀の戦争は、サイバー空間と宇宙空間での戦いである。核兵器や高価なF35戦闘機といった製造コストとメンテナンスが高い兵器は、過去の遺物になりつつある。

サイバー上の軍事技術において、中国のハイテク企業は人民解放軍を後ろ盾に、独自にIoT、AIと5Gで技術開発を進めている。企業活動は国家安全保障と一体化している。仮に中国のハイテク技術が世界標準になってしまうと、宇宙空間において中国が優位に立つ。これでは世界のビッグデータが中国に集積し、世界は中共の監視の下に置かれてしまう。

こうした事情を背景に、昨年12月にファーウェイのCFOがカナダで拘束されるといった事件が起きている。米中冷戦は、今後も激化する。

トランプ政権の大目標は、米中冷戦に勝利し、覇権を取り戻す。その意味での「アメリカ・ファースト」を貫かなければ、米国民の生命と財産を守ることはできない。米国は国家安全保障上の危機に直面しているという認識がある。

 一方で、米国内には亀裂がある。20世紀の米国の覇権は、世界最強の兵器生産を支える産業体制、兵器製造費を捻出する金融、そして、軍産複合体制の調整役としての政治家、その周辺に付着するロビイストやメディアによって支えられた。また、兵器の動力となる資源、すなわち原油を持続的に供給し、世界の資源配分のために安全保障や外交政策が練られた。こうした20世紀版の政治・経済・金融・安全保障のパッケージは、今の時代、最適とは言えない。

21世紀の「超限戦」において、ハイテクやITが主導し、富を生み出す体制となっている。これに見合う効率的な国家運営に切り替える必要がある。既存の体制を一旦組み替えるには、既得権益にしがみつくグループを利権から引き離す必要がある。

その役目を担う大統領は、過去に政治のしがらみがなく、利権集団からははぐれた者の方が好都合だ。トランプ大統領がその任務を果たす時が来た。

トランプ氏が「ミー・ファースト」(自分の利益)ではなく、真に「アメリカ・ファースト」(国益優先)の行動に出れば、米国の権力構造が根本的に変わり、世界も変わる。

 これからトランプがnational emergency 非常事態を宣言すれば、「トランプ革命」が始まることになる。米国内での権力闘争、海外との覇権争いも同期し、当然、金融市場も戦場と化し、短期的に相場は荒れ、日本も巻き込まれ、急激な円高になるだろう。

 今年は、長期・分散投資、資産保全に徹すべきである。また、緊急時の電力、通信網の確保もすべきである。

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