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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

トランプ・ショック

<トランプ相場は終了>

クリスマスイブに米国株価が大きく下げ、25日には日経平均が1000円を超える大幅安となった。2019-20年の前哨戦だと筆者は感じている。

クリスマスで多くの人々が休暇を楽しむ中、人気のないところで、米国国益の本質に関わる大ごとが起こっている。

年末になると連邦予算が上限に達し、「連邦政府機関の閉鎖」が毎年の恒例行事となっているが、今年はトランプ大統領がシリアやアフガニスタンからの撤退、さらに在韓米軍の縮小など、国防費削減を言い放った。こうした大統領の意向を受けて、マチス国防長官は早期に辞任する。

トランプ氏にとってカネが全てである。カネで朝鮮戦争を終結させ、ノーベル平和賞をもらいたい。「アメリカ・ファースト」よりも「トランプ・ファースト」を優先した。大統領としてやるべきことではない。これまでトランプ大統領登場でふわふわ上昇してきた相場も、10-11月の局面を経て、終了した。トランプ相場は終わった。

<トランプ・ショック>

筆者は1971-2年のニクソン・ショックを思い出す。ニクソン大統領はあれだけの優れた実績を残しながら、自身の選挙戦を有利に戦うためにベトナム戦争終結を長引かせた。もっと早く戦争を終結させれば多くの若者の命を救えたのに自身の名誉欲を国民・国家の利益よりも優先させてしまった。

2019-20年には「トランプ・ショック」による米国国内政治の混乱が予想される。どういう形になるのか。トランプ氏がロシアゲートで辞任する場合、ペンス大統領の下で米中新冷戦が激化するだろう。当然、金融市場は大荒れとなる。ニクソン・ショックで始まった米中国交正常化、オイルダラー、ドル覇権を支える変動相場制が転換の時期を迎える。

<ビッグショートで勝てるか?>

このようなショックの中では、ヘッジファンドもただでは済まない。今後、ヘッジファンドはどう動くだろうか?リーマンショックで空売りを仕掛けて大儲けしたヘッジファンドを描いた映画「マネー・ショート」がヒットした。2019年は再び空売りで儲けるチャンス、「ビッグショート」の波がやってくるか?

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<日本への影響>

筆者は日本市場についても懸念している。年明けから日経平均株価は1万8千円台に下げるまでは一旦反発しないと見ている。さらに、元号の変わる5月頃には再び大幅な下げと100円を切る円高を予想してる。

来年10月に「リーマンショック級の金融危機のために消費税率を上げない」となった場合には、ワーストシナリオとして日本国債の下落と金利急騰、日銀が購入したETF株価の暴落と言った、拙著「円消滅!」シナリオが間近に迫ってくることになりそうだ。

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