玉虫色の相場と政治
3月22日にFRBパウエル議長は、「年内は利上げなし」との態度を明確にした。市場ではパウエル発言からリセッション(景気後退)警戒感が高まった。今年12月までには25 bp(ベーシスポイント)程度の利下げの確率が9割と、市場は見込んでいる。
時を同じく、FRB理事にトランプ大統領寄りのスティーブン・ムーア氏が就任した。トランプ氏はなぜ利上げを好まずに緩和策に転じているのか?事前の予備的なリスク回避なのか?
今年年明けから米国株式市場は上昇し、昨年第4四半期の大幅な下げを取り戻しつつある。リスクオンに転じ、ITセクターが買われ、中国やインドへも資金が流入した。上海総合株価指数は年明けから上昇している。そうしたリスクマネーがオンからオフに転じる契機は何か?リスクオフとなればポジションの巻き戻しから円高の可能性が高まる。
債券市場では、22日に3ヶ月物短期国債(3 month T-bill)と10年物国債との金利格差が -2 bpと、ゼロを割り込んだ。この逆イールドカーブの出現は2007年来12年ぶりである。市場では信用リスクの高まりへの警戒感もある。
一方、政治面では「ロシアゲート」捜査が22日に終了し、モラー特別検査官は司法長官に報告書を提出した。報道では、トランプ氏とロシア政府との共謀を明白に裏付ける証拠も、また、共謀がなかったことを裏付ける証拠もなかったという。トランプ氏は「勝利」を宣言したが、実体としては完全な潔白ではない。相場もトランプ大統領の立場も、見方によっては様々な色に見えてくる「玉虫色」なのだ。
私が心配しているのは、日本市場である。22日に日本の10年物国債は -0.08%のマイナス金利となった。米国では昨年までの利上げで、まだ利下げの余地がある。しかし、日本ではマイナス金利が深化すれば、現状経営の厳しい地銀などにとってはさらに苦行が続きそうだ。
この状況で政府は10月に消費税率を10%に引き上げるし、その予定で予算も組んだ。仮に今から10月までの間に金融危機が起こった場合、消費税率引き上げは中止するのか?すでに予算案は決められており、増税がなければ「教育の無償化」など多くの予算案に示された原資がなくなる。その場合のシナリオはどうなるのか?おそらくその場しのぎでなんとかなるのだろうか?
金融市場も政治も、いつまでも「玉虫色」で誤魔化せるのだろうか?
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