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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

恐怖指数 再び?

再び、恐怖指数(VIX)の動きが気になる。昨年6月にVIXmaggedon(VIXとハルマゲドンが組み合わさって起こる大きな下げ)について記事を掲載した。

 その後2018年10月、12月に懸念された調整局面があった。そして、年明け以降、VIXは低位に推移し、トレーダーたちの恐怖心も薄れ積極的にリスクを取りに行く動きが活発になり、株価を押し上げてきた。

トレーダーや市場参加者はこの「べた凪状態」が続く方向性に賭けている。彼らはVIXを空売りし、そのショートポジションが積み上がっている。

【グラフ】VIX(恐怖指数) 5/8/19
【グラフ】VIX先物ネットポジション

 これだけショートポジションが積み上がったところで、VIXが上昇する場合、ショートの買い戻しやパニックで株価を一段と下げるとみられる。恐怖を掻き立てるトリガーは何か?

 10連休中に元号が令和に変わる中、二つのトリガーが明確に見えてきた。一つは北朝鮮リスクで、5月4日に北朝鮮は「飛翔体」(ロシア製弾道ミサイルか?)を複数発射した。もう一つは、米中貿易戦争の行方である。5月6日にトランプ大統領が中国からの輸入品に対する関税を25%に引き上げると発言した。この二つのリスクは日本の政治経済に大きく関わってくる。

 まず、北朝鮮リスクについて。2回目の米朝会談は決裂したので、トランプは直接は北朝鮮と交渉しない。そこで、安倍首相が直接、金委員長と向き合うことになる。安倍首相は拉致問題解決の可能性をぶら下げて7月の参院選でなんとか勝ちたい。しかし、相手はそれを見越しているから、日本はおそらく北朝鮮に非核化へのコストをたんまり払わされ、しかも、韓国と同様、国民の血税を払い続けたとしても朝鮮半島問題はおそらくいつまでたっても埒は明かないだろう。

 次に、中国リスクについて。米中貿易交渉が暗礁に乗り上げるかもしれない最中、6日に米軍は南沙諸島周辺で「航行の自由作戦」を実施した。米軍はイラン革命軍への軍事攻撃も辞さない構えからして、中国の「海のシルクロード(真珠の首飾り)」包囲に出るのか。中東からのシーレーンは日本にとって死活問題である。また、日中との通商貿易への制限が出てくるとなると、日本の経済にとっては大きな打撃となりそうだ。

 米国市場にとってよりもむしろ日本の安全保障にとって深刻な恐怖が高まりそうだ。

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