トランプ電撃訪朝 日本にとって「トランプショック!」 トランプ発言「日米安保破棄」はその伏線だった・・・
6月30日、日曜夕方にG20大阪サミットを終えたトランプ大統領が韓国に立ち寄り、ついでに文大統領も引き連れて電撃的に訪朝し、突如、第3回目の米朝首脳会談が行われた。しかも、日本の頭越しにだ。これは「ニクソンショック」に匹敵する「トランプショック」と言ってもいいくらいだ。(ニクソン大統領は日本の頭越しに訪中した。)
サミット前にトランプ大統領は米国メディアで「安保条約は不平等だから破棄」と発言し、多くの日米関係者を驚かせた。今思えば、この衝撃的発言はトランプ電撃訪朝の伏線だった。そして、事態は大きく動いた。
実は、このサイトでは政治評論家の片桐勇治氏との対談(2014年8月)で、こうした事態をすでに予想していた。
詳細は『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』(片桐勇治氏との共著2015年)
まず、トランプ発言「日米安保破棄」がなぜ突然ここにきて飛び出してきたのか?そして、朝鮮半島情勢とどう関わるのか?その真実については、片桐勇治氏の優れたリサーチがすでに紐解いている。
そもそも、日米条約(1960年1月締結)は10年ごとに見直される。この条文によると、日米安保条約は当初の10年の有効期間(固定期間)が経過した後は、日米いずれか一方の意思により、1年間の予告で廃棄できる旨規定しており、逆に言えば、そのような意思表示がない限り条約が存続する、いわゆる「自動延長」方式である。
直近では2010年に見直しがあったはずである。それを、米国側はなぜ「破棄されたもの」と思ったのか?
『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』の中で片桐氏の分析が際立つ。同書29ページから「歴代総理がサインしてきた密約の覚書」について片桐氏の分析を要約すると以下のようだ。
そもそも、吉田首相が 1951年サンフランシスコ講和条約にサインし、日本が独立国家として国際社会に認められたことは歴史の教科書に書いてある。しかし、その裏には、日本の政財界へのアメリカからの紐付き資金「復興資金」30億ドルという密約の覚書があった。日本はアメリカからの融資の担保として、航空権、国防権、電波権を差し入れた。返済期限は1952年から60年間で、元本と利息全てを返済したのが2013年4月だった。同年4月28日には「主権回復の日」の式典が政府主催で行われた。この時期と前後して、羽田空港の発着枠が増え、スカイツリーがより多くの電波を飛ばせるようになり、そして、米軍基地や関連施設が日本側に返還されてきた。担保が戻ってきたのだ。
『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』
なぜ「密約・特別覚書」が必要だったか?戦後間も無く米ソ冷戦が始まった。1949年に毛沢東による中華人民共和国が設立され、50年には朝鮮動乱で共産主義の脅威が高まり、米国は反共の防波堤として日本を軍事的に占領し続ける必要があった。同時に、日本経済の復興を後押しする必要性も認めた。
自民党による「55年体制」が確立し、歴代の総理は、「この覚書を異議なく実行します」という覚書にサインしてきた。しかし、サインしなかった総理もいた。石橋湛山氏、そして鳩山由紀夫氏(もそうではないかと言われている)。
2009年に民主党政権が誕生した。ちょうど安保条約を見直す時期にあった2010年、 継続をどうするかのか日本側からは返事がなかったらしい。米国は鳩山氏の態度を見て、日本がもはや「安保条約」を続ける気がないと判断したようだ。
鳩山内閣は1年で終了し、米国は安保破棄をも視野に入れようとした時に、2011年3.11 大震災と津波そして福島原発事故が起こった。米軍はトモダチ作戦で日本を支援した。2012年12月に日本は慌てて、野田政権から安倍政権へ移行し、自民党は復権を果たし、日米関係の修復に尽力した。(2013年年明けからアベノミクスで株価が上昇した。)
そして、2013年4月に日本を縛り続けてきた戦後の復興資金返済が完了し、密約は終わった。しかし、戦後、米国への従属によって利権を確保してきた政治家、官僚、新聞等メディア、財界の一部は、今でもその利権の上に座り続けている。
そして何よりも、この密約は朝鮮戦争の継続を前提としていた。しかし、30年前にベルリンの壁が崩壊し、ソ連が崩壊し、中国は米国と貿易戦争をするほどの市場経済を発展させ、戦後レジームは当初の状況からまったく持って変わってしまった。
日本が主権を取り戻したことで、朝鮮戦争休止は必然的に終結へ向かう。トランプ大統領は朝鮮戦争を終わらせたことでノーベル平和賞を授与されることを切に願っている。そして、北朝鮮を解放し、朝鮮半島を「ドルの海(ドル経済圏)」にするのが商売人トランプの目的だ。北朝鮮を米国の新たな市場にする。そのためには北朝鮮の復興資金を今度は日本に負担させるだろう。
小日向白朗氏(池田勇人総理のアドバイザー)のインタビュー記事からの引用で、日米安保の裏にあるアメリカの本音が、以下のように示されている(米国要人の発言として)。
「米中が手を握り、日本の国内がゆすぶられても崩れないような体制になった時には、あの覚書の密約を・・・白紙に戻してもいい・・・アメリカはいつでも喜んで解除するだけの用意はしております」
『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』(片桐氏 p32)
トランプ大統領は「もうこっちの用意はできている」と言っているのだろう。日本が主体性なく気づかないふり、知らんぷりしている間に、世界情勢はどんどん動いていく。
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