グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

もし中国がデフォルトしたら・・・

 先週末アルゼンチンがデフォルトした。「またか・・」と驚く人も少ない。9回目のデフォルトともなれば致し方ない。しかし、もし中国がデフォルトしたら?

 今後の米中貿易戦争の行方を見ると、一概に非現実的とは言えない。意外にも現在の中国共産党政権成立以前の中国政府(中華民国)が発行した債券が今、話題になっているのだ。

参考記事 Trump’s New Trade War Tool Might Just Be Antique China Debt

https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-08-29/trump-s-new-trade-war-weapon-might-just-be-antique-china-debt?srnd=premium-asia

 ブルームバーグ記事によれば、現政権以前の中国が発行した債券は元本金利は回収できずデフォルト状態にある。そして、この種の債券(pre-communist debt)を、こともあろうかジョージ W ブッシュのスピリチュアル・アドバイザーだったテキサスのメガチャーチの牧師が老齢の退職者に販売し、その債券保有者たちが支払いを求めている。牧師は米証券取引監督局の追求に対して無罪を主張している。

 まるで満州国公債を高齢者に販売すると言ったとぼけた詐欺事件である。しかし、トランプ大統領、ムニューシン財務長官、ロス商務長官にとっては、この米中貿易・通貨戦争の新たな火種が検討の対象になるようだ。

 1910-20年代に当時の中国政府は鉄道などインフラ整備のために多くの公債を発行した。中国大陸に進出を目指した米国の投資家(資本家)もその保有者となった。私のオフィスにもそうしたアンティーク債券の一部が飾ってある(写真)。

 国家間のお金の契約に関しては、戦後の賠償金支払いや国家体制が変わる時のデフォルトの定義など、表には出ない様々なやり取りがある。例えば、今はデモで揺れる香港の返還前の1987年に、サッチャー元首相は前中国政府がデフォルトした債券について英国の保有者への支払いを現中国政府と交渉したと言われている。

 現実的に考えれば、前政権の発行した債券には既に効力がない。しかし、もし現政権が解体され別の体制に移行した場合、中共の発行した巨額の債券(負債)はどうなるのか?中共が貸し付けたドル建て融資で借金漬けの(「債務の罠」にはまった)国々はどう救済されるのか?

 中共の立場から見れば、人民元安と資本流出をいかに食い止め、再び列強による支配と屈辱からどう自国を守るか、その正念場に来ている。前世紀の遺物、アンティーク債券の支払いまで要求されたらたまったものではないだろう。10月1日に、中共は国家設立から70周年を迎える。

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