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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

感謝祭前の「前倒し」利下げに感謝 ショート手仕舞いか  ブレクジット、サウジアラムコIPO、そして米中貿易協議の行方

 感謝祭前の「前倒しFRB利下げ」には感謝。米国株式相場は最高値を更新中で、日本の株価も上昇している。この後も昨年第4四半期のような大幅下落がないといいのだが。

 先日ボストンから友人が来日し、「ハロウィンが終わるとすぐに感謝祭、そしてクリスマス。年末まであっという間」と話していた。クリスマス商戦は感謝祭の前から前倒しで始まる。これから株価を押し上げる3つのイベントに注目したい。

 第1にブレクジット。12月12日に総選挙となり、ジョンソン首相が目指す「秩序ある離脱」の方向性が見えてきた。これは世界の投資マネーにとってはプラスである。(ただし、総選挙の結果は予想困難だが・・・)

 国際金融市場についてロンドン金融街シティの果たすの役割は、国際間取引で見ると、実はウォール街よりも大きい。ポイントはざっくりだが以下のとおり。

  • 国際的株取引の約5割、国際新規公開株の55%、国際通貨取引の35%をシティが占める。
  • 英国の外国為替取引量は1日当たり2兆7,260億ドル(世界全体の40%)で、米国(1兆2,630億ドル)の2倍強にあたる。
  • タックスヘイブンを通して世界中の企業や富裕層の資金の回収、運用を行い、アジア、アフリカ、中東の資金の流れに関与している。

 第2にサウジアラムコIPO。このIPOはムハンマド皇太子が4年前に打ち出した計画で、その評価額は1.5兆ドルと見込まれ、世界最大級である。国家規模の投資マネーや引受予定の27銀行(シティグループ、ゴールドマン、HSBC、JPモルガンなど)にとっては儲けの大チャンスだ。

 第3に米中貿易協議。ブルームバーグ・サイトの一面を、ロス商務長官と李克強首相が握手している写真が飾る。この種のニュースは相場を押し上げる。

 しかし、貿易協議の裏では米中金融戦争が続いている。例えば、筆者は、「清華大学や北京大学がドル建て債券で資金調達するのが困難になっている」という記事に注目している。https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-11-04/bonds-at-record-lows-throw-spotlight-on-china-s-top-universities

 習近平主席をはじめ共産党エリートを排出してきたこうした名門大学は、実は産官学の巨大コングロマリットで、国家を挙げての技術開発などに取り組んでいる。そのための資金調達に不安な影が見えている。

 中国株は米中冷戦下で、年初来3割強上昇してきた(CSI300指数)。

CIS300指数

 しかし、この10月からは、中国に投資するヘッジファンド資金に異変が現れている。中国のクレジット戦略に投資するファンドへは年初来資金流入が続いていたが、10月には流出に転じたのだ。そろそろ中国株もピークかもしれない。

 以上の3つのイベントから見られるように、年末にかけて投資マネーの動きが活発化している。しかも、このところの急激な株価上昇は、ヘッジファンドのショートカバーによる買い戻しによるところが大きいと思われる。「前倒しショート手仕舞い」で、クリスマス休暇を前倒しと行きたいところだが・・・一寸先は闇である。

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