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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

バイデン政権はインフレ、戦争を起こし、FRBは経済を壊す 政策ミスはFRBだけではない

 米中央銀行FRBは6月15日の政策決定で、予想された0.5%の利上げ幅を上回る0.75%の利上げを決定しました。FRBは、ウクライナ情勢、中国のロックダウンからインフレ警戒を強め、将来インフレ率を2%に戻すために、積極的に「インフレと戦う」姿勢を打ち出しました。さらに、7月にも引き続き利上げを実施すると報じられています。

 FRBのインフレ退治の犠牲になるのが、米国国民経済と一般市民です。実はインフレ懸念は昨年夏頃には高まり、専門家の多くは「FRBの利上げがタイミングが遅すぎる」と警告していました。今回は、すでに経済がインフレで冷え込んでいる、ここで大幅利上げをすれば景気後退と株安は必須という環境での利上げです。しかも、FRBは「米国経済は堅調」と政策決定後の声明文で述べています。専門筋はこれを、FRBの政策ミスと批判しています。

 米国経済は堅調ではありません。インフレ率は5月の消費者物価指数(CPI)が8.6%と40年ぶりの高さになり、ガソリン価格高騰や物価高に加え、利上げでローン金利の支払いが増え、一般世帯の可処分所得が減り、家計の負担が重くなっています。特に低所得者や年金暮らしの世帯には厳しい状況です。

 また、住宅市場でも、ローン金利が利上げ前の2倍近くに高騰したため、住宅販売件数が減少に転じています。そうなると近い将来、個人消費の低迷からCPIもピークを打つと予想されます。こうした状況に敏感に反応しているのが大手スーパーのウォルマートやディスカウントストアのターゲットです。すでに物が売れなくなり、今年仕入れた在庫が積み上がり、7月には在庫処分セールが始まるようです。さらに、こうした小売業者は2023年第1四半期まで新規受注なしと報じられています。これでは、不景気でインフレどころか、デフレ圧力が強まると専門筋は見ています。

 こうした予想がある中、FRBが超タカ派に傾倒する理由は「政治的」だと考えられます。11月の中間選挙を控え、バイデン大統領の人気はガタ落ちです。バイデン政権は「インフレはプーチンのせいだ」と公言し、ウクライナに数百億ドルもの武器や資金を供与し、かつ、国内の石油産業を抑圧してサウジやベネズエラから石油を調達しようとする姿勢に、高いガソリン代を払わされている米国民は怒りの声をあげています。そんな時に「インフレ退治」に向けて現政権がFRBに暗黙の圧力がかけるのは当然でしょう。現に6月1日に、バイデン大統領はパウエル議長をホワイトハウスに呼びつけて異例の会談を行い、ニュースになりました。

 ところで、チグハグな政策はFRBだけではありません。欧米諸国の中央銀行が利上げをする中、日銀だけが超緩和政策を続行しています。その結果、欧米との金利格差が広がり、急激な円安になっています。なぜ、自国通貨安に固執しなければならないのか?その理由は、日本が国際金融市場においてバッファー(緩衝国)となっているからです。つまり、インフレ退治、ドル高に向かう米国に対して、日銀が流動性をせっせと供給しなければならない役割を担っているからです。中国が米国債保有高を減らす中、日本が米国の借金を持ち続け、信用市場に資金を流しています。

 以前ウクライナ危機に関して、地政学の観点から、ウクライナがドイツとソ連の間に挟まれた大国の「緩衝国家」として厳しい歴史を生き抜いてきたことをお伝えしました。

参考:ウクライナ危機と「戦後体制」の終焉(2022年2月27日号)

 日本は国際金融市場における「緩衝国家」です。日銀がその役割を担い、日本の国民経済は悪い円安の犠牲になり、さらに、「検討氏」岸田の政権下で重税とインフレによる景気後退が迫ります。来年にかけて地政学リスクも高まります。中国に進出した企業は従業員を速やかに帰国させるべきです。

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