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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

岸田増税 「ポンジスキーム」で信用失墜となるか?

 暗号資産取引所の運営会社FTXの投資詐欺(=ポンジスキーム)、そして破綻については以前お伝えしましてきまた。同社元CEOのサム・バンクマン・フリード(通称SBF)がバハマで身柄を拘束されたと報じられています。彼は歴史上稀に見る巨額詐欺の首謀者で、しかも、その犯罪は、投資家から集めた資金を自分のガールフレンドの会社に使い込むというあまりにも稚拙なものです。

記事「FTXは詐欺なのか、陰謀なのか?仮想通貨市場で大規模ポンジスキーム

 金融の基本は「信用」です。例えば、〇〇銀行の銀行員が預金者のお金を着服したなんてことになれば〇〇銀行の信用はガタ落ちです。多くの人は不安を感じて別の銀行に預金を移すかもしれません。顧客から預かったカネを私ごとに使い込む、分別して管理しないとなれば、金融業は成り立ちません。SBFは仮想通貨市場で信用崩壊を引き起こしたのです。

 こうした信用崩壊は岸田内閣についてもあてはまるのではないでしょうか。直近のニュースでは、与党が防衛費増税額に法人税、たばこ税、復興特別所得税を充当すると言い出しました。

2022/12/17 「増税」は財務省のシナリオ通り…「日本の軍事力増強の費用は誰が負担するのか?」海外メディアも注目

 私も国防強化は必要だと思います。しかし、防衛費43兆円とは、その使い道とは?米国大手軍需企業レイシオンからトマホークなど高価な武器を購入する前に、国民の生命を守るためのライフライン確保、特に食料自給率を上げることが先決だと考えます。

 特に気になるのが復興税についてです。我々は「2011年の大地震・福島原発事故で被害に遭った地域や皆様の復興のために」という政府の旨を信用して税金を払ってきました。が、ここにきて復興税を防衛費に転換するとは、主旨が違うのではないか?加えて、復興庁に使い切っていないカネがあることや予算は本当に何に使われているのか、その査定や検証について国民の詳細な説明があるべきと考えます。政府は様々な理由を付けて徴税しているわけですが、一旦自分たちの懐に金が入れば、当初の目的と異なる用途に使いますと勝手に都合を変えられるのでしょうか?そうであればFTXと同じでは?

 民間では、〇〇に投資し運用しますと言って投資家から集めた資金を、運用会社が勝手に運用手段や目的を変えたり、あるいは自分の豪邸を買うのに勝手に使い込んだりしたら、投資家から訴えられます。民間で許されないことが政府は許されるのでしょうか?今回の岸田内閣が防衛費増強のための早急に財源を確保しようとあれこれ目的の異なる税金をかき集める様を見ると、まるで「ポンジスキーム」のようです。政府に対してはまず国会議員定数を減らすなど身を削るコスト削減が、財務省に対しては特会も含め一層の透明性が求められます。

 以下は私の邪推ですが、今回の43兆円規模の防衛予算については、金融資本の循環から見ると、政府による米国債売却に対する米国のしっぺ返しのようにも見えてきます。つまり、この売却によって円安で儲けた分を防衛費で払い戻せというのが米国の主旨のように思えます。

 下のグラフは日本が保有する米国債残高の推移です。日本は米国以外では最大の米国債保有国です。政府は今年7月以降、米国債をかなり売却してきたことが分かります。現時点の保有高1.078兆ドルは2019年の水準にまで引き下げられています。財務省も日銀も米政府とFRBにグリップを握られているように見えてきます。

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