グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

2024年トランプ大統領の返り咲きで、世界は、日本はどうなるか?

 2024年が明けました。元旦から能登半島では大地震、そしてJALと海保機の事故で多くの尊い命が奪われました。とても「新年おめでとうございます・・・」とは言えない気分です。そして、この1年は日本にとって厳しい試練の年になりそうです。

 皆さんご存知のように今年は選挙イヤーです。世界の人口80億人のうち40億人が投票して国の代表を決めます。1月には台湾、2月にインドネシア、3月にロシア、4月に韓国、4月か5月にインド、6月にメキシコ、そして欧州議会、9月に自民党総裁選、11月に米国大統領選です。

 この中で世界の政治経済に最も大きな影響を及ぼすのが、米国トップの交代です。今のところ民主党バイデン氏と共和党トランプ氏の一騎打ちになりそうです。そしてこれまでのバイデン政権の外交上の数々の失策やインフレによる不人気から、トランプ圧勝が見込まれます。

 現在、米国内ではトランプ当選を阻もうと大統領選出馬資格を剥奪するなど、司法を武器化して(三権分立など無視して)前代未聞の様々な権力闘争が起こっています。そんな状況で先行きは読めませんが、仮にトランプ共和党政権が返り咲くと、世界は、そして日本はどうなるか?

 トランプ氏は「米国第一主義」を貫くことから、米国の地政学ニュースレターRANE誌は以下のような政策転換が起こると予想しています。

  • パリ協定から離脱、インフレ法案、グリーンニューディールなどバイデン政権下の政策を覆す。EV業界にはマイナス、石油業界にはプラス
  • ウクライナ戦争を終わらせるためにロシアと交渉する
  • 二国間貿易を重視し、関税や貿易赤字の問題について是々非々で取り組む。中国に対してはテクノロジー関連で厳しい制限を課す
  • 欧州や日本といった同盟国に対しても貿易関連では新たな関税障壁を設けるなど米に有利な交渉を持ちかける
  • ホワイトハウス内には以前にも増してより自分に忠実なスタッフを置いて(グローバリストの息のかかった官僚を排除し)、求心力を高めるだろう

 このように米国が「自国第一主義」に傾くと、世界は多極化しグローバルサウスの台頭がますます著しくなるのか?グローバリストとの戦いの構図はどう変化していくのか?日本はどうなるか?そして、国際金融市場において国際決済銀行(BIS)を中核に段階的に進められてきた世界統一通貨を目指す主要国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)はどうなるのか?

 まず、トランプ氏は根っからの商売人、タフなディール・メーカーです。相手国との交渉において是々非々で詰めてきます。仮に日本が「自国第一主義」の立場をとってもそれがディールの上で自分たちとの利益共同体を形成するのであれば手を打つでしょう。そして事情が変われば見直し、修正を加えていく極めて現実的な”Game of Inches”で事を進めると予想されます。そうなると日本のサバイバルのための胆力、交渉力が問われます。

 トランプ政権では北朝鮮の非核化と朝鮮半島の統一が起こり、朝鮮半島に強力な国家ができ、日本、中国との間で新たなパワーバランスの探り合いが起こります。朝鮮戦争が終結し、当然、日米同盟の見直しが起こるでしょう。こうした事由を予想し、21世紀の日本の新しい大戦略が必要です。

(注)『日本の新戦略 反転攻勢のグランド・ストラテジー』2023/11/2 山口壯 (著)

 この点については、元外交官でジョンズホプキンズ大学SAIS国際政治学博士である山口壯氏(衆議院議員)が全く新しい環太平洋構想「アジア太平洋協定」を描いています。

 次に、CBDCはどうなるか?トランプ氏は次期大統領になったらパウエルFRB議長はクビだと公言したようです。アンドリュー・ジャクソン第7代大統領が第二合衆国銀行の運営許可の更新を拒否したように、FRBを解体するか?そして、ドルを米国民の元に戻すか?

 その場合、グローバルサウスを軸に脱ドル化が進むのか?世界の貿易体制、通貨体制がパラダイムシフトを起こすか?その時、日本はどう国民の生命と財産を守れるのか?明治維新から150年を経て、再び鎖国するのか?某国の植民地とならずに自主独立であろうとすれば、国家としての国体をどうするのか?何をすべきなのか?今我々に残されたものは何か?

ヘッジファンドニュースレター

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