10年後のあなたの個人資産は大丈夫? 家族と自分を守る資産設計 | お金の正しい守り方1
(お金の正しい守り方 第1回)
「絶対に安全」という神話が消えた日本社会で家族と自分を守るためには、個人の資産をきちんと設計し防衛するノウハウが必要です。そこで「ゲートキーパー」、「ファミリー・オフィス」と呼ばれる、欧米で富裕層の資産を管理運営している会社のノウハウからお金の守り方を学んでいくことが大切です。
1.「絶対に安全」という神話が消えた日本
3・11の東日本震災以降、日本の社会体制全体が、文字通り、大きな地殻変動に見舞われています。
絶対大丈夫だと信じてきた東京電力や日本航空の株式や社債の価値がなくなり、絶対安全と信じてきた土地、日本国債、そして円の価値すら、どこまで確かなものなのでしょうか?
日本にとどまる事のリスク
- 円高不況
- 空洞化
- 少子高齢化
- 地震・津波・原発リスク
- 財政破綻危機
こんな状況で資産を海外に逃避させる「日本を見捨てる富裕層」が急増しています。
外資系銀行では、宣伝もしないのに外貨預金が集まり、数千億円に膨らんでいるそうです。
2.容易に日本を見捨ててはいけない
しかし私たちフツーの庶民には海外へ移す資産もないし、海外のどこへどうやってお金を移すのかといった情報もありません。
海外へ移住することも簡単にはできません。「海外に資産を移して大丈夫なのだろうか」
「日本人が日本を離れて、果たして生きていけるのだろうか」という疑問が浮かびます。
日本に国力のあるうちは、外国社会でも丁寧に扱われるでしょう。しかし、いったん日本の国力が地に落ちたら、日本人はのけものになると思った方が良いでしょう。いくらお金があっても、海外で暮らす以上マイノリティなのです。
いざ政変や戦争となれば、華僑のように世界中にネットワークを張り巡らせて自分と家族とを守らなくてはなりません。
それだけのリスク管理を日本人が海外でできるでしょうか。もちろん、外務省や日本政府は全然あてになりません。
海外へ逃避するのではなく、本気で自分と家族を自力で守る覚悟をもって資産の設計を練るべきでしょう。
3.理想的な資産の設計と防衛をするには
私の好きなテレビ番組に「大改造!!劇的日ビフォーアフター」という自宅を思いっきりリフォームするドキュメンタリーがあります。「匠」の建築士が施工主の家族の要望をとことん聞いて、不便な家を理想の家に大改造するまでを描く人気ヒューマン・ドキュメントです。
資産保全も自宅のリフォームのごとく、家族と運用の匠とが協力して作り上げるのが理想だと私は考えています。
米国には、「ファミリー・オフィス」という富裕層の資産を守る管理会社があります。ロックフェラーのような大財閥でなくても、医者や弁護士、中小企業オーナーなどは、ファミリー・オフィスを通じて、ファイナンシャル・アドバイザーや会計士、税理士の協力を得て、家族の資産保全を目的とした長期の運用を行っています。
大きなファミリー・オフィスともなれば、運用する資産が大きい分、さまざまな投資に分散され、それをまとめる番頭さん、もしくはコンシェルジュのようなプロのお金の門番であるゲートキーパーが、ファミリーのビジネスや運用哲学を理解し、資産運用全体を取りまとめています。
もちろん、フツーの家族ではゲートキーパーを雇う事は不可能でしょう。しかし、プロのゲートキーパーたちが、どのようにして資産を守るのか、その考えの基本は一般の家庭にとってもとても参考になります。そして、身の丈に合ったゲートキーパー的サービスを使うことも可能です。
家族のための投資運用も、理想の家を建てるのと同様に、株式や債券、さまざまな資産を組み入れながら「じぶんちポートフォリオ」を設計することです。
この「お金の正しい守り方」コラムでは連載を通して、優れた「ゲートキーパー」、「ファミリー・オフィス」から学んだ資産保全の哲学と方法をご紹介していきます。
次回は
“お金の正しい守り方 第2回:「幸せでないとお金は続かない」 裕福な人生の作法とは?”
をお届けします。ご期待ください。