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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

デトロイト市破綻から地方債で揺れる債券市場

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 米国では第二四半期の好調な企業決算を受けて株価が続伸。GM(ゼネラル・モーターズ)社も増収となるなか、その本社があるデトロイト市が財政破綻しました。地方自治体の破綻は破産法「チャプターナインChapter 9」に准じて処理されます。
 デトロイト市は地方債(Municipal bond: 通称Muni)を発行しています。破綻の際、地方債を保有している投資家(債権者)がどう扱われるか注目されています。有力紙バロンズ(7月21日付)Randall Forsyth記者が”The Harsh Lesson of Detroit”が詳しく解説しています。
 Muniには橋や道路の通行料など将来のキャッシュ・フローを担保に発行されるレベニュー債などいくつか種類がありますが、今問題となっているのは、市民からの税金を担保とした一般債(General Obligation bond: 通称GO)です。GOでは債券保有者(投資家)と年金受給者への支払いが義務づけられています。
 デトロイト市では財政難から多くの市民が流出し、税収が激減し、警官も減り、治安が悪化という悪循環。破綻法適用により市の年金受給者にお金が戻るかどうかは不明です。GMが破綻した際には、GMの年金受給者にはGM社債保有者よりも優先的に支払いが行われたのとは対照的です。
 デトロイト市の破綻により、シカゴなど財政難が顕在化している市の地方債の信用リスクも注視されています。折しも量的緩和縮小が予想されるなか、債券市場から投資マネーが流出していましたが、地方債市場の不安がこの流出に拍車をかけました。
 米国のファミリー・オフィスと富裕層は一斉に債券のアロケーションを減らしました。債券の運用者はそのとばっちりを受け、特にロング・オンリーの大手債券ファンドでは年初来の運用収益が軒並みマイナスになっています。
 知人のヘッジファンド・マネジャーは、長期にわたり15−20%のリターンを稼いでいます。彼の戦略は米国転換社債レラティブ・アービトラージです。25日の投資家向けレターで、彼は「投資家の債券恐怖症”fixed income phobia”が債券相場を下げている。債券の利息配当が信用リスクに見合わなければ、発行体の資本構成を鑑みた転換社債アービトラージを採用すべきだ」と下げ相場での戦略の優位性を説いています。
 こういうときにこそ、投資家は十把一絡げでマネジャーを判断しないことが肝心です。

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