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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

PEのドライパウダーはどこへ

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未公開株、M&A、バイアウトなどで活躍するプライベート・エクイティ(PE)ファンド。巨額の投資資金を背景に、欧米では投資銀行に代わる強力な存在です。

量的緩和(QE)でだぶついた投資資金が、高い利回りを求めて大手有名PEファンドに流入しています。PEファンド側にとっては、投資資金が集まりすぎても困るのです。良いリターンを稼げる案件は限られており、投資できない余剰資金はファンド全体の利回りを下げるためです。

こうした投資の行き場のない余った運用資金は「ドライパウダー」と呼ばれ、その額は7890億ドルにも達しています。リーマンショック前の2007年にピークを打った額を上回っています。(11月27日付FT紙 “Private equity’s ‘dry powder’ raises overcapacity concern”)

降り積もったドライパウダーは、ブームに乗って質の低い案件にも投資されるようになります。住宅バブルのときの「サブプライム問題」の繰り返しです。だぶついた投資資金は、資産バブルを生成し、そして、行き着く所、バブル破綻と同時に急激な信用収縮を引き起こします。

このような投資環境にあるなか、日本の公的年金基金GPIFは、PEを含むオルタナティブ投資に運用を広げようとしています。運用資産額120兆円を抱える世界の巨大年金基金GPIFが日本国債に偏った運用から多様化をはかるのは、よい判断だと思います。しかしながら、ことにPEに関しては、投資の入り口のタイミングを見極めるべきと思います。へたすると、ドライパウダーを吸い上げ、ババをつかんで負けを見るのが関の山だからです。

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