グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

米国の威信を問う、政府閉鎖の影響

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バークレイズの推計によると、このところの「政府閉鎖」のコストはGDPの0.25%にも及びます。迷惑を被ったのは米国民だけではありません。特に、FRBの「テーパリング(緩和縮小)」を期待していたグローバルマクロ系ヘッジファンドにとっても、「政府閉鎖」でテーパリング延期となり、見通しが外れる結果となりました。

そんな中、大手ヘッジファンドのキャクストン・アソシエイツのアンドリュー・ロー会長は、米国経済の腰が弱く、「テーパリングは既に選択肢にはない」と明言しています(10月21日付FT紙)。キャクストンは年初、米国経済に強気で米国債をショートしましたが、この数週間では「テーパリングなし、ゼロ金利持続」の見通しに切り替え米国債に投資をし、大きな収益を上げました。

キャクストンは1983年設立以来、年率平均14%のリターン、しかもリスクはS&P500指数の半分という好成績です。カリスマ的なコブナー氏がリタイアした2011年以降は、ロー会長のもとで年率8%を上げています。1983年にキャクストンに投資した1000ドルは現在約20万ドル(200倍)となっています。

一般に、ヘッジファンドは公募でないため、いつ募集があるか公開されていません。加えて、運用実績の良いヘッジファンドには大量の投資資金が流入するため、募集を止めることもあります。キャクストンはしばらく新規投資を受け付けず、この夏に少しだけ新規資金を受け入れました。

「政府閉鎖」で海外の投資家は、米国のリーダーシップ、威信に不安を抱いていると多くのヘッジファンド関係者は感じています。現に、グローバルマネーはユーロへ資本逃避し、ドルは対ユーロ安となっています。

これまでは、世界で金融危機が起こるたびに、投資資金は「安全資産」の米ドルへと逃避してきました。ここに来て、米ドルそのものの信用が揺らいでいるようです。米国内の投資家も含め、グローバルマネーは益々分散投資へ向かうと思われます。

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