「先を超された」と私は感じました。中国は本格的なオルタナティブ投資を始めます。その手始めに、トップクラスのヘッジファンド六社に対して上海が上陸を認めたようです。「上海シックス」と称されるファンドは、キャニオン・パートナーズ、シタデル、マン・グループ、オークツリー、オクジフ、ウィントン・キャピタルの六社で、上海当局から5千万ドル (約50億円)ずつ(六社で総額3億ドル=約300億円)の、ファンド・レイジングの許可を得ます。
(FT紙9月14-15日ウィークエンド版 “Shanghai set to approve foreign funds”)
中国はまず、最高の運用者を招き入れ、自国の機関投資家がそうしたヘッジファンドの技—空売りや裁定取引—を学び、オルタナティブ投資戦略にアクセスできるよう取りはからうことを狙っています。と同時に、高い金融技術を持つヘッジファンドに自国市場を開放し、今度は海外の投資運用会社に人民元での投資をさせようという魂胆も見られます。
かつて、中国は国営企業の民営化プロセスで、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーといった大手投資銀行に新株発行を引受けさせました。グローバル市場へのデビュー戦では、かつてないほどの大きな利益を投資銀行と政府高官とが分け合ったのです。
リーマンショック後、大手投資銀行は姿を消し、今やヘッジファンドやプライベート・エクイティファンドが金融の最前線で勢力を振るいます。彼らと利益をいかに分かち合うか、中国の国際金融市場に向けての戦略は注目です。
国際金融アナリスト。SAIL社代表。ウォール街で20年近いキャリアを持ち、ヘッジファンドなどオルタナティブ資産の運用に関して論文・記事、講演多数。国際金融および経済について情報発信中。
Prev Post
Next Post