グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

2014年のヘッジファンド見通し

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 2013年には日本株は56%近く上昇し、世界市場の中で最も優れたリターンを上げました。S&P500指数は30%上昇、ヘッジファンド業界平均リターンは11%でした。(ブルムバーグ動画をご覧下さい。)今年はいっそうボラティリティ(変動幅の大きい)の高い相場環境と予想されています。
 
http://www.bloomberg.com/video/hedge-fund-managers-expect-2014-to-be-stronger-7Ld9J4A~RnS7RlfqdRwWTg.html

 ヘッジファンド全体を見ると、運用資産高10億ドル以上の大型ファンド・ランキング第1位は、Glenview Capital で84.2%と驚異的なリターンを上げました。2013年に大きな運用収益を上げたのは、オバマケアに賭けて(betして)大きな収益を得たGlenviewのようなロング・ショート戦略で、S&P500を上回ったのはロングバイアスの強かったアクティビストなどトップ10位までのファンドです。

http://www.bloomberg.com/news/2014-01-08/glenview-s-robbins-tops-hedge-fund-ranking-with-bet-on-obamacare.html

 総じて、総額270兆円といわれるヘッジファンド運用全体のなかで、グローバルマクロ戦略はマイナス2.2%とリターンが振るわず、同戦略で有名なBrevan Howardと Bridgewaterの2013年の運用実績は1%未満と冴えなかったと報じられています。
 戦略別にみると、アセット・バックトなどクレジット関連(Asset-backed, Credit structure, Distressed)がFRBの量的緩和を味方に2013年に高い収益を上げました。今年はテーパリング(量的緩和縮小)開始から、長期金利上昇が見込まれ、米国株は堅調と予想されています。
 すでに、1月第一週にはBRICs(新興市場)株価が下げています。2月のFOMCでは「さらなるテーパリング(債券購入額をさらに100億円減少)」が予想されていることから、新興国からの資金流出が見込まれます。

http://www.nikkei.com/news/image-article/?R_FLG=0&ad=DSXBZO6520036011012014000001&bf=0&dc=1&ng=DGXNMSGD11004_R10C14A1000000&z=20140111

 グローバルなマクロ環境が大きく変わり、ヘッジファンドにおいても規制強化が予想されるなか、相場動向にbetするディレクショナルな戦略よりもニッチで安定収益を上げる本来のアルファ型のマネジャーが望まれます。

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