グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

ピークオイルとグリーン革命

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このところアクティビストについて読んでいる。ブーン・ピケンズの自伝的エッセイ「どん底から億万長者」は実に愉快だが、「ピークオイル」について彼の見解を読んだときに、ここ1か月の出来事が瞬時に頭の中でつながった。それは、これから5-10年かけて起こる大きなトレンドである。

大手信託銀行で7兆円を運用するK氏と昼食会をした。リーマンショックが話題になった時に「ロックフェラーがリーマンを潰したとしか思えない」と、事情通のK氏がそこまで確信しているかと内心驚いた。「シティなんてサウジの銀行ですよ。潰したって構わない。本来の銀行業務のために残しておいたのはJPモルガン・チェース、まさにロックフェラーの銀行です。」

ちょうどドバイ・ショックの前に、ドバイで「グリーン・テクノロジー」のベンチャー・キャピタル(VC)を立ち上げている米国人たちとの昼食会があった。彼らは投資先の最新環境技術をまずドバイで実践するのだという。投資先には日本の中小企業の名前もあった。ドバイ・ショックの後、心配になってメールをしたら、「大丈夫だ、アラブ人同士は助け合う、原油がある限りカネはまわる。それよりもギリシャのデフォルトやオーストリアとか欧州を心配したほうがいいよ」と教えてくれた。

COP15のニュースが流れる中、米中の石油争奪戦で中国が優位に立っていることを実感した。中国は使用する石油の半分以上を国内で生産し、残りを輸入しており、米国に次いで第二位の石油輸入国である。中国は石油を含め資源争奪のため国を挙げてアフリカ大陸での影響力を強めている。市場原理に基づく米国にはメジャーがいるものの、中国の国策石油会社や政府そのものといったシステムの異なる相手では、苦戦を強いられている。

「ピークオイル」によれば、世界の石油生産は2006-7年頃にピークを迎え、その後生産量は減少し続ける。米国が2003年にイラク侵攻に踏み切ったのは、石油不足を恐れるあまり、サウジとロシアに代わる石油産出国が必要だったためではないのか。安定した原油価格と供給こそ米国の国益にとって最も重要な課題であることは周知の事実である。しかし、アフガニスタンからの撤退の時期が決まり、イランは社会変動に見舞われている。安定した石油産油国を確保・維持することには巨大なコストがかかる。

「ピークオイル」を前提に、米国は「ポスト石油経済」システムへの移行を目指し大きく舵を切ったのではないだろうか。20-50年後に中国は脅威でなくなっているだろうが、覇権維持のためには代替エネルギーの創出とその物流(グリッド)、制御テクノロジーなど一切の分野で主導権を掌握する必要がある。ちょうどIT革命で米国が主導権をとり、それがグローバル化の波を起こしたように、これから5-10年で始まるグリーン革命は米国が覇権をかけた第二の大きなうねりとなり、世界に波及しようとしている。シリコンバレーやベンチャーのカネの流れをみると次のトレンドが見えてくる。

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