グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

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QE2に思う、通貨安戦争の行方

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 予想通り、中間選挙でオバマ民主党が惨敗し、そして、FRBはさらなる金融緩和政策を実施した。

 既にじゃぶじゃぶ状態のグローバル・マネーは新興国のあらゆる市場へ流れ込み、アセット・バブルを起こしている。先日、画廊を経営するTさんが「2009年9月頃から中国アートのバブル崩壊などと報じられていましたが、中国現代アートはまだ高止まり」と語った。10月に香港に出張し、クリスティーズのオークションに参加してきたばかりのTさんは「どうみてもアンディ・ウォホール中国版のようなひどい趣味の絵が、数億円ですからね」と嘆く。

 ちなみにTさんによれば、BRICsの投資マネーが美術市場に流入している。中国では、美術品に対する投資収益率が30%と、不動産投資の収益率20%よりも高く、最も効率的な投資事業と考えられているという。

 QE2の根本的な問題はVelocity(通貨の流通速度)にあると、某ヘッジファンドCIO、レイノルズ氏は指摘する。たしかに、流れの悪い淀んだ巨大なダムのようなマネーが、実際の景気対策に素早く回っていないように感じる。

 2009年2月にオバマ大統領が調印した「Build America Bonds」というインフラ整備の資金調達のために発行する地方債では市場金利が高めに設定されたが、その分を連邦政府が補助金を出して補てんすることになっている。ヒモ付きなのだから政府は口も出す。実際のインフラ整備では役人の認可や管理が増え、民間業者が工事を始めるのに1年以上もかかっているという。高い税金ばかり取られて失業率が減らないのは、こうした通貨の速度を遅らせるお役所仕事ばかりが増えるのが一因である。

 QE2はドル安から米国にとって輸入価格を上昇させ、インフレ圧力になってくる。肥大する官僚組織に変え、インフレと失業がダブルでやってくるスタグフレーションの悪夢がよみがえる。

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