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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

米国QE終焉と日本株

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 FRB(米国中央銀行にあたる連邦準備銀行)は米国債の約70%を購入している。米国財務省はQE(量的緩和)をそろそろ終えるのではないかという観測され、QE3がなければ流動性がひっ迫し、短期金利を押し上げるのではないかと懸念の声が上がっている。FT紙(4月2日付)では、大手債券運用会社ピムコのCIO、グロス氏のコメントを含め、FRBの出口戦略に疑問を投げかけている。

 QE2は金利を押し下げ、そのおかげで米企業は収益率を改善し、ドル安と相まって国際競争力を強化し企業業績を伸ばしてきた。その結果、米株価も上がっている。しかしながら、3月の住宅価格は下落、そして消費者信頼度指数も下落するなど実体経済が本当に改善に向かっているとは思えない。3月の失業率は8.8%と、労働市場ではわずかな改善しか見えてない。

 FRBの出口に何が見えるか?もうひとつの不安要因は金融市場への規制強化、Dodd-Frank法である。FT紙にグリーンスパン氏が同法に対する批判記事を載せた。複雑化した国際金融市場の現場を知らない政治家が立法してもかえって市場を混乱させるだけだ。QEで膨らんだリスクマネー(ハイイールド債や新興国債券)やアセット・バブルが、FRB出口を出たら信用収縮に見舞われるという懸念がある。

 また、バレル当り140-150ドルまでの原油高を心配する市場関係者も多い。原油高は経済成長を鈍化させるし、金利上昇圧力になる。米国では穏やかなインフレは株式にとってプラス材料だ。

 米国株に比べて震災後の日本株はかなりの割安感があった。「戦場で血が流れている間に買いあされ」というアングロサクソン的発想からすれば目をつぶって優良銘柄を買うだろう。円安に転じたことから、外資の買いの動きも一巡してきたとみるべきか。加えて、大震災からの復興で日本はゼロ金利を当分維持するだろうから、米金利上昇を考えると円キャリートレードのうまみもある。

 しかしながら、日本経済の先行きについて直近6カ月は相当厳しいとみている。まず、福島原発は予断を許さない状況だ。放射能汚染水が海に流れ出ていることから既にスリーマイルを超えた「レベル6」と海外は認識している。この汚染被害は10年は続くとみられ、農業や漁業への打撃は大きい。

 さらに、世界経済と密接にリンクしている精密機械、特殊部品や半導体メーカなどが早く復興指針を示さないと世界は待ってくれない。台湾や周辺へ工場を移してしまいかねない。企業努力や地域活性化では間に合わない。国を挙げて資金を投入すべきで、一刻の猶予もない。すでに経済全体が自粛ムードで雇用不安が広がり、個人消費も先細りそうで、黙っていれば一層の縮小生産・縮小消費という悪夢がやってくる。

大井幸子講演セミナー

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