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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

日本にとってのトランプリスク。日銀、メガバンクなど日本の大手機関投資家への悪影響の懸念

By Gage Skidmore, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=51041412
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11月8日にトランプ新大統領が決定し、マーケットでは投資マネーがリスクオフからリスクオンへとポジションを急転させ、選挙から一夜明けて米ドルと米国株式が上昇し、債券市場が下げた。トランプ氏は選挙中の極端な発言を控え、不法移民の強制送還、オバマケアの廃止などの公約の一部を既に撤回している。今後、このカメレオンのような人物がどのような政策を実行するのか。

次期大統領の金融政策では、リーマンショック後に続いた緩和政策の出口に向かう。FRBによる12月の利上げが予想されており、先週の債券市場では大きな変化が起こった。選挙直後債券利回りが高騰し、債券市場では1.1兆ドルが売られ、1999年以来の売浴びせとなった。

トランプ相場は日本市場にも波及し、マーケットは円安・株高、債券安となった。15日には、長期金利が上昇し、マイナスからプラスに転じ、市場関係者はドキッとした。海外投資家が米国債の急落で損失が膨らみ、日本の債券投資にも慎重になっている。現在、日本の債券市場の主なプレーヤーは日銀を除くと海外勢であり、彼らが去って行くと、当然日本でも金利上昇が懸念される。これでは、日銀のマイナス金利政策が裏目に出て市場金利が上昇し、多くの日本国債や公社債を抱える国内機関投資家は含み損を抱えることになる。

その意味で、日本にとってのトランプリスクは、日銀、メガバンクなど日本の大手機関投資家にも被さってくるのではないかと筆者は懸念している。銀行の経営がふらつけば、貸し渋りや貸し剥がしで多くの優良中小企業が犠牲になる。このパターンはリーマンショック直後に見られたことだ。

さらに、日本にとってはトランプ流の保護貿易主義もリスクとなりそうだ。トランプは米国製造業の復活を掲げて当選した。次期政権は「米国第一主義」のスローガンのもとに、海外移転した工場を自国に引き戻すなど、外で稼ぐカネを自国に取り戻そうとするだろう。特に、日本と中国は米国へ輸出することで経済成長を遂げて来たが、その間、両国には貿易黒字が累積した。米国は自国製造業の輸出強化のため、円高、人民元高へ誘導すると予想される。

ただし、年末までは110円以上を目指す勢いでの円安、ある程度株高で推移するだろう。輸出企業にとっては朗報である。コワいのはトランプ新政権がスタートする来年1月20日以降である。

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