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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

The Forth Turning 『フォース・ターニング』 「第4の節目」が示す危機

 『The Fourth Turning 』ウィリアム・ストラウス/ニール・ハウ共著 1997年、( 奥山真司訳、2017年 ビジネス社)を読み直す。そこには、このコロナ感染拡大を予言する一節がある。

“世界は、2005年頃から「危機」に入り、25年までに歴史の大きな転換点を迎える。
そのインパクトは世界恐慌と第2次世界大戦勃発と同じくらい大きい。“

 著者ストラウス/ハウによると、歴史はある一定のリズムを持って繰り返される。人生の節目と同様、80年を一つのサイクルとする。20年ごとの春夏秋冬、四つの節目がある。そして、時代を四つの節目にたとえると、「発展 → 成熟 → 混乱→ 破壊」というリズムを構成する。

  • 春 第1の節目 【高揚】新しい秩序が浸透して行く上昇的な時代。
  • 夏 第2の節目 【覚醒】精神面の激変、既存の秩序が新しい価値観に覚醒。
  • 秋 第3の節目 【分解】古い秩序が衰退して行く下降的な時代。
  • 冬 第4の節目 【危機】社会の激動、古い価値観が新しいものと代わる。

日本の戦後の歴史と重ねると、「春」は焼け野原からの復興/高度成長期、「夏」には団塊の世代が全共闘運動など反体制活動を起こし、「秋」には国際化、バブルの生成と破綻が起こり、そして、「冬」はリーマンショックを経て、まさに今この時である。

 世界は、「冬=破壊=危機」の中にある。「1929年の株価暴落から始まった大恐慌と第2次世界大戦を合わせたくらいのものすごいインパクト」とは、コロナショックと、それに続くリセッション、そして、米中貿易戦争が通貨戦争へ、やがて第3次世界戦争へつながっていく流れと、読み解ける。

 このところ、米国は中国政府を「武漢でのコロナ感染拡大を知りながら事実を隠蔽した」と批判を強め、関税をめぐる両国関係が悪化している。

 15日(金)に主要な米国の経済指標が報じられ、生産と消費の両面で「過去最悪の落ち込み」を示している。第2四半期(4-6月)GDPは39.6%の落ち込みが予想されている。下のグラフを見ても、過去のどの落ち込みよりもその度合いが急激で深刻である。

 『フォース・ターニング』の予言によれば、2025年頃まで危機が続く。今年11月の大統領選でトランプ続投となれば、次の4年で「冬」の時期を抜け、トランプの後に新しい時代が始まる。あるいは、もっと早い時期かもしれない。

その間、日本は、景気は、どうなるのか?

 米中対立が先鋭化すると、地政学上、朝鮮半島情勢も含め、日本も巻き込まれる。日本においては安全保障上の問題が、この「冬」の時代の終わりに、際立ってくるだろう。

 また、国内景気については岩盤規制を取っ払う良いチャンスが巡ってきたとプラスに考えるべきだろう。新しい発想を持つ人たちや若い世代にとっては、のし上がる好機がやってくる。

 『フォース・ターニング』に興味のある方は、翻訳者で地政学博士の奥山真司さんに私がインタビューした貴重な映像(2012年)をご覧ください。

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フォース・ターニング 第四の節目

  • ウィリアム・ストラウス (著), ニール・ハウ (著), 奥山 真司 (監修, 翻訳), 森 孝夫 (翻訳)
  • ビジネス社
  • (2017/3/23)

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