一難去ってまた一難 緊縮財政への反乱や実物資産は上昇か

公開日: : 大井リポート | 

25日のギリシャ総選挙で、緊縮財政に疲弊したギリシャ国民は急進左派シリザ党を支持した。

チプラス党首の左派連合は、欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、IMFのトロイカ体制を相手としてどこまで債務圧縮を交渉できるだろうか。

夏にかけて100億ユーロの返済がギリシャに迫るなか、トロイカ体制は引き続きギリシャに構造改革を要求しており、債務減額に応じる気配は今のところない。
反緊縮の動きはスペインにも波及し、左派ポデモス党が勢力を伸ばしている。

ギリシャのデフォルトやユーロ離脱が起これば、ドミノ倒しのようにスペインや他の諸国で極左勢力が台頭する可能性がある。

すでに、移民問題をめぐり極右の台頭が見られる国々では、政治的対立が激化し、暴動に発展するなど、欧州全体の不安定化が懸念される。
今後、単一通貨ユーロを維持するためには、ユーロ加盟国の財政政策もまた統一する必要があるだろう。

経済共同体であるユーロ圏が統一された財政規律を持たなければ、政治的な共同体として完結しない。

しかし、徴税権など各国の主権を超えることとなり、実現は困難である。逆に、スコットランド独立運動に見られるように、欧州では緊縮財政に加えた増税に反旗を翻し、少数民族が国民国家から離反、分離する動きが活発化するのではないだろうか。
さて、先週のECBのさらなる量的緩和(QE)策により、一段とユーロ安が進んだ。

ここ1週間で、マイナス金利のユーロで借り入れ、インドルピー、ブラジルレアル、トルコリラといった高利回りの通貨に投資するユーロ・キャリートレードに資金が流入した。

そのため、こうした通貨がドルに対してやや上昇している。
一般に、中央銀行の度重なる超QEによって、投資家が株や債券といったペーパーマネーの価値下落を恐れた投資家が、ハード・アセット(実物資産)に一斉に向かうことがある。そうした市場環境のときに、原油価格は高騰する傾向がある。
例えば、日銀がQEを実施した2001年3月から06年3月までに、ブレント価格は日本円ベースで136%上昇した。

また、リーマンショック直後にFRBがQEを実施した2008年11月から14年7月までに、原油価格は米ドルベースで137%上昇した。

しかし、14年後半から市場は、米国金利上昇のタイミングを見極める動きとなり、原油高から原油下落へ一転し、その後は米ドル高が続いている。
原油下落が続き、OPEC以外の産油国では財政的な困難に直面している。

特にロシアは欧米の経済制裁と原油下落の影響を受けてルーブル売りが続き、外貨準備高を切り崩している。

ロシア国内ではインフレと食糧難で、年金生活者など一般市民の生活が徐々に苦しくなってきている。ベネズエラではデフォルトが間近に迫り、政治的混乱が予想される。

ラテン諸国ではメキシコ、ブラジルなど資源国もまた同様に原油下落の影響を受け、財政状況悪化が懸念される。
加工貿易国家日本にとって、原発停止のなか、原油とLNGが輸入総額のおよそ四分の一を占めている。円安で輸入価格が上昇するなか、原油下落は天雨となっている。

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