6月末に行われた大阪G20サミットの最終日に、トランプ大統領は、米中貿易戦争の一時休戦を呼びかけた。その後、パウエルFRB議長が「予備的な利下げ」(insurance cut)を示唆し、利下げ期待から、NY株価は連日高値を更新してきた。(Insurance Cutについての記事 https://globalstream-news.com/20190610/)
7月のFOMC(30-31日)に利下げ確実と見られ、市場はすでに織り込み済みである。そして、今後9ヶ月で0.25%ずつ、3回の利下げが予想されている。具体的な時期は、7月、9月、2020年第1四半期で、来年11月大統領選挙を睨んで、株価を浮上させたいトランプ氏の戦略が見えてくる。
もちろん、景気後退懸念から利下げは歓迎される。しかし、米国の実体経済はそれほど悪いのか?
下のグラフは、1950年からの米国の景気拡大期を青で示し、後退期が赤で示してある。2008年のリーマンショック後の米国の成長率は2.3%とやや鈍化しているが、緩やかな景気が長期に渡り続いている。米中貿易戦争が避けられれば、景気後退の気配は感じられない。

金融市場は、3回の利下げでドル安、米株高へ動くだろう。また、ドル安は新興国経済を成長路線へ引き戻すから、世界の需要は拡大すると見込まれる。
しかし、そんなにいいことばかりではない。最大のリスクは、不透明な米中貿易戦争の行方、予測不可能なトランプ氏の発言や身内だけで固めた政策である。
もし秋口から全面的な米中貿易戦争になれば、2020-21年に米国はマイナス成長に陥る可能性が高まる。当然、株価も最大30%下げるリスクがあると予想される。
昨年から貿易戦争の影響で中国のGDPも6.2%と、成長率の減速が顕在化している。米中の経済が後退すれば、世界の景気も後退するだろう。
そうしたリスクの兆候をどう先読みすれば良いか?金融市場の動向を見る上では、まずVIX恐怖指数を注視すべきだ。今のところVIXは低位で推移している。この波が跳ね上がるときを見極めることが肝心だ。
もう一つの注目は、GAFAを含むいわゆる多くのヘッジファンドが集中して投資する「人気銘柄」の値動きだ。フェイスブックの仮想通貨リブラに対する規制強化が予想されるなど、今後これまでのような値上がりが期待できるだろうか。
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