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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

株価最高値更新 ワクチンラリー続くのか?

 12月4日(金)に11月の米雇用統計が報じられた。失業率は6.7%と前月より改善した。11月の感謝祭を過ぎてクリスマス商戦の最中、オンラインショッピングが増え、倉庫、配達関連の雇用が14万5000件も増加したという。

 しかし、全米でいまだに400万人が失業中である。サンフランシスコでは再びロックダウンとなることから、人気のない街中をウーバーイーツとアマゾンが走り回る状況となり、先行きは不透明だ。

 そんな中、11月の世界の株価は12.2%も上昇した。MSCI All-Country World Index(グラフ)の時価総額の推移を見ると、3月半ばのコロナショックで3割強も下げたが、中央銀行が超緩和政策で市場に大量の資金を供給し、投資マネーがリスク資産に回ったことで、株価も上昇に転じた。

 その後、11月3日の大統領選挙前に相場は神経質な展開となった。が、バイデン勝利で不安材料が消えると再び上昇に転じた。そして、製薬大手ファイザー社のワクチンが90%以上有効だと伝わると、経済活動再開の期待から相場は上昇し、最高値を更新した。

 しかし、実体経済はというと、IMFは2020年の成長率は -4.4%と予想、大恐慌以来の不景気だと報じている。足元、世界で再び感染が拡大する中、果たして本当にワクチンが効いて経済が回復できるのか。期待感でフワフワ上昇する株価の先行きは不安である。

 トランプ氏の重大演説から見えてくるものは?

MSCI All-Country World Index, 兆ドル

 今後株価上昇は続くのか?ワクチンの有効性に加えて、ポイントは、二つある。

 第一に、FRBの量的緩和政策金利が続くどうかである。主要メディアはバイデンが次期財務長官にイエレン氏(元FRB議長)を指名と報じた。かつて量的緩和を実施したイエレン氏が、バイデン政権下で巨額の財政出動を実施するという期待が、株価を押し上げた。しかし、本当にバイデン大統領が誕生するのだろうか。いったい、民主党は何をそんなに焦っているのだろうか。

 第二のポイントは、12月2日のトランプ大統領による重大演説の中にある。トランプ氏は「米国憲法を死守する」と明言した。平たく言えば「米国市民を中国共産主義や他国の支配者たち(ディープステート)から守る」と、堂々と言ってくれた。

 米国では超党派で中国に対する締め付けを強化している。12月2日に、米議会下院は中国企業規制強化法案を可決した。3日に、米国務省は中国共産党と家族に対してビザの有効期限を最長10年から1ヶ月に短縮した。

 米国民の反中感情が高まり、選挙の正当性を求める動きが活発になるにつれ、バイデン陣営の正当性は失われていく。それまでに、バイデンを大統領に押し上げて、メディアを上げて既成事実を作り上げ国民を押し切ることができるだろうか。バイデン陣営にとっては時間との戦いになっている。

 おそらく民主党による不正選挙疑惑は最高裁で争われるだろう。その手続きすら阻まれてしまうのであれば、米国における「法の支配」は終わる。(この辺りは当レポート「米国民主主義が死ぬとき、資本主義終焉の鐘がなる」(11/22付)でお知らせした。)

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