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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

カザフスタン危機 バイデン・ファミリーとクレプトクラシー

 年明け、カザフスタンの最大都市アルマトイで大規模な反政府デモがあり、暴動鎮圧にロシア軍が介入し、カザフ情勢は一気に不安定化しました。

 カザフスタンは実は日本にも縁が深いのです。1991年にソ連から独立し、その後の経済成長に日本の開発経済の専門家やJICAが地道な支援をしてきました。ナザルバエフ大学の学長は元世界銀行の勝茂夫氏が務められています。エシムベコフ駐日大使は1993年から横浜国立大学に留学された知日派で、1ヶ月前の12月16日には外人記者クラブで講演されたばかりです。それが、年明け情勢が一転し、私も本当に驚きました。

 カザフ情勢について簡単にまとめます。ソ連共産党内の有力者でもあったナザルバエフ氏が独立後も長期にわたり大統領を務め、2019年にトカエフ氏が2代目大統領に就任しました。ナザルバエフ大統領の権威主義的政権下で、大きな力を持ったのはマシモフ氏(元ソ連KGBで中国武漢、北京に留学した親中派)で、2007-12年に首相、2016年に秘密警察のトップ、国家保安委員会議長に就任しました。マシモフ元首相は今回のロシア介入で、国家反逆罪の疑いで拘束されました。また、ナザルバエフ元大統領は、退任後も国家安全保障会議の終身議長の地位を保持したが、1月5日には更迭されました。

 ナザルバエフ長期政権下でカザフ政治は、賄賂と腐敗が横行するクレプトクラシー(泥棒政治)と称されてきました。こうした独裁政治への不満が蓄積していたところに、液化石油ガス(LPG)の価格が高騰し、国民の怒りに火がついたと報じられています。確かに、天然ガスや石油、石炭など資源価格は値上がりし、日用品など物価が上昇してきました。しかし、事態の深刻さは、大規模なデモが激しい暴動に発展していく過程で、そこに組織だった「外国勢力」が入り込んでいたという点です。

 トカエフ大統領は「非常事態」を宣言し、空港、放送局、インターネット、銀行などが遮断され、1月6日に大統領は暴徒鎮圧のために、旧ソ連の軍事同盟「集団安全保障条約機構CSTO」に支援を要請しました。ロシア精鋭部隊が鎮圧に入り、まさにクーデターの戒厳令の様相となりました。テロリストが依然として武器を使い、破壊行為を行なっているとし、10日時点で6044人が拘束され、事態は流動的です。

 いまのところ、トカエフ大統領がロシア軍、CSTOを後ろ盾に、旧勢力(ナザルバエフ元大統領、マシモフ元首相ら)を排除し、安定化に向かおうとしています。そして、ここで、米国との利権関係も明らかになってきています。ハンター・バイデンやバイデン・ファミリーがマシモフ元首相と「親しい友人関係」にあり、現米国大統領のファミリーがカザフスタンの腐敗した支配者たちと利益を分かち合う関係にあった事実が公になっています。

 バイデン・ファミリーが、中共やウクライナと不適切なビジネスを行なってきたことは、2020年11月の大統領選挙の前から暴露されてきました。当ニュースレターでもバイデン政権が誕生すると、米国を頂点としていた世界秩序が崩れ、世界同時共産主義革命が起こると警告しました。

 マシモフ元首相とバイデン・ファミリーとの関係はカザフ人ビジネスマンのラキシェフ氏を介して築かれたようで、マシモフ元首相はまた、中共の一帯一路にも関与し、ここに、バイデン、カザフ、中共の利権が絡んでいることが見えてきます。

 プーチン大統領は西からウクライナのパイプライン利権を狙うNATO、そして南から一帯一路でカザフスタンを突き上げる中共から、ロシアの領土と国益を守ろうとしています。そこでCSTOの結束力を高め、ロシア国内の統一を再度強固にしようとしています。そして、ウクライナとカザフスタン、中共には米現大統領の利権が関わっています。当然、米露関係もそうした角度から見ると、プーチンの怒りは大きいです。地図で見ると、ウクライナとカザフスタンの地政学的な重要性が見て取れます。プーチンの妥協はなく、容赦無く軍隊を送り込むとみられます。

 2022年、世界はますます不安定化していきます。

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