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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

日本人は日本を見捨てて生きていけるのか

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 今週のダイヤモンド誌「日本を見捨てる富裕層」は興味深かった。同誌が描くジャパン・リスク(円高、デフレ、空洞化、震災・原発、少子高齢化等々)を回避しようとすれば、海外へ資産逃避を行うのも理解できる。

 3・11大震災以降、すでに富裕層は資産を海外へどんどん逃避させている。香港上海銀行では、宣伝もしないのに外貨預金が集まり、数千億円に膨らんでいると聞いている。

 おカネのない庶民は海外に移す資産もないし、そうした情報もない。土地に縛られて海外へ移住することもできない。富裕層の話を聞いても「へー、そうかな」とうらやましい一方、資産も家族も日本を離れて、果たして日本人が生きていけるのだろうかという素朴な疑問がうかんだ。

 私自身、移民の宝庫、パッチワークのようなマンハッタンで20年近く生活した。移民たちが自分のアイデンティティと家族で守りながら、一丸となって生き抜いていくたくましい姿を見てきた。そうした生きる力が、日本を離れた日本人にどこまであるのかなと思う。

 人種のるつぼ、ニューヨークで、多くの日本人は駐在員のステイタスで滞在している。駐在が終われば日本に帰る。日系人のように米国に骨を埋めるわけではない。駐在期間は企業がバックにあるので、日本の皆さんは経済的にも恵まれている。日本はGDPで世界3位の国力があり、特権的な国民として振る舞うことができる。チャイナタウン、コリアン・タウン、インド人街で暮らすようなライフスタイルではない。

 私は、「日本を見捨てる」といっても、日本人はいずれ日本に戻ってくるか、あるいは日本と行き来できることを前提として、いったん日本から逃避するという軽い程度の意味だと思う。

 日本人はユダヤ人のように故国を追われても強い民族のきずなを保てるほど、精神的に強い国民だろうか。歴史上蹂躙されたことのない民族、島国根性でお人よしの日本人が、迫害され孤立しても他国で生き延びていけるほどの強い信仰心やアイデンティティがあるように思えない。

 日本に国力のあるうちは、海外で暮らすビザも取りやすいだろうし、外国人も日本人を尊敬し、丁寧に扱ってくれるだろう。しかし、いったん日本の国力が地に落ちたら、日本人はのけものになると思った方がよい。いくらおカネがあっても、海外で暮らす以上マイノリティなのだ。いざ政変や戦争となれば、華僑のように世界中にネットワークを張り巡らせて自分と家族とを守らなければならない。それだけのリスク管理を日本人が海外でできるだろうか。もちろん、外務省や日本政府は何もしてくれないだろう。

 本気で自分と家族を自力で守る覚悟がなければ、安易に日本を見捨てないほういいですよとアドバイスしたい。

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