グローバルストリームニュース
国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

2016年終わってみれば、トランプとヘッジファンド

 今年は申年なので「相場が荒れる」と言われていたが、まさに想定外のショックの連続だった。昨年12月にFRBが金利を引き上げ、年明け1月に入ると中国市場が大きく下げ、上海総合指数は2015年7月のピーク時から4割以上も下落した。中国当局はサーキットブレーカーを作動させ、ボラティリティを抑制しようとした。そして、2月半ばには原油価格がバレル当り30ドルを割り込み、底を打ち、3月から世界の株式市場は上昇した。

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参考記事 FT(12月16日付) ”The real shock in global markets in 2016”
https://www.ft.com/content/bc253bba-c2b9-11e6-81c2-f57d90f6741a

 次のショックは、6月23日に決定した英国のEU離脱である。ポンドは1.50ドルから離脱決定後1時間で1.3224ドルまで急落し、31年ぶりの日計りにおける最安値となった。知人は「ポンド建て資産が目減りした」とがっかりしていたが、海外の通貨に分散して資産を保有していた英国人にとってはざっと10-20%の利益を得たことになる。さらに、英国中央銀行が金利を下げ、おかげで債券価格が上昇した。

 そして、11月8日の米大統領選挙ではまさかのトランプ勝利が起こった。その夜、米国株先物市場ではダウが800ポイントも急落した。トランプ氏のアドバイザーでもある大物投資家アイカーン氏はこの夜の祝賀パーティを一足先に抜け出し、会社に戻ると10億ドルもの株の買い注文を出した。他のグローバルマクロ戦略の大手ヘッジファンドも9日の午前4時まで買い注文を出した。そして、彼らは市場が開くと、株価上昇で大きな利益を上げた。ここから「トランプラリー」が始まった。

 このように、いくつものショックやサプライズに素早く対応できたヘッジファンド・マネジャーにとって今年は実り多かった。そして、トランプ次期政権下、国際金融に関わる重要なポストには多くのヘッジファンド経験者が就任する予定である。まず、財務長官就任予定のムニューチン氏はゴールドマンサックスでトレーダーの経験を持ち、その後自らヘッジファンドを起こした。商務長官に就任予定のロス氏も、ヘッジファンド・サークルのなかで輝く存在である。経験と実力を備え、多くの運用資産と投資家を抱えるプロ中のプロである彼らが総力を挙げて米国の国益を最大化すべく国際金融の舵を取ろうとしている。

参考記事 New York Times (12月19日付) “Trump’s Treasury Pick Moves in Secretive Hedge Fund Circles”

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