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エネルギー資源輸出に舵を切る米国、ドル安へ誘導

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 米国はエネルギー資源輸出国として、ドル安を望んでいる。ムニューシン財務長官は1月25日に「ドル安容認」と口を滑らしたが、これが米国の本音である。30年ほど前も、レーガン大統領が「強いアメリカ、強いドル」をスローガンに掲げたが、実際は1985年のプラザ合意以降、日本は急激な円高に見舞われた。

 米国は液化天然ガス(LNG)の輸出を急増している。シェールガスを海上輸送する液化輸出施設が整備され、中国、インド、欧州諸国へ売り込んでいる。2月10日のニュースによると、大手シェニエール・エネジーは中国石油天然気集団(CNPC)とLNGの長期契約(2043年までに年120万トンを輸出)を結んだと発表した。

 中国経済は成長が鈍化するとはいえ、成長のためには資源エネルギーが必要であり、ロシアは陸のシルクロードから中国市場へのエネルギー資源輸出を狙う。日本もまた海外と天然ガスパイプラインがないため、世界1位のLNG輸入国である。その他の輸入国は中国などアジア諸国が過半数を占めている。

 LNG、原油といった資源エネルギーの観点から見ると、今後、米露が中東を押しのけて価格決定権をめぐる覇権争いを繰り広げるのか。今のところ原油価格はやや高値で安定しているが、実は地政学や通貨の問題に大いに関わってくる。

 GSニュースでも書いてきた通り、2月5日以降、右上がりの株式相場は変調の局面を迎えている。筆者は「アメリカ・ファースト」の国家戦略に基づき、米国は「ドル安」に進み、結果、円高に向かうと予想している。

 FRBが利上げを実施すると予想される中、米国では短期金利も長期金利も上昇過程に入った。この場合、欧州や日本はまだ緩和策の出口に出たわけではないので、理論的にはドル高に行くはずである。しかし、なかなか金融経済の理論通りにいかないのが現実である。

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