アルゼンチンで開催されたG20終盤で、米中が歩み寄った。トランプ政権が中国に対する追加関税実施時期を、来年1月1日から90日延期すると報じた。米中の緊張が一時緩和されたと感じたマーケットはリスクオフに転じ、週明け月曜に日経平均株価は300円近く上昇した。しかし、翌日火曜には500円以上の値下がりとなった。
今マーケットの懸念は、米国債2年物と10年物の長短金利差を示すイールドカーブ(利回り曲線)の平坦化、さらには、長短が逆転する「逆イールド」にある。
ヘッジファンドをはじめ多くの投資運用では、短期で資金調達(借入)し、長期に投資をするので、長短金利格差が逆になるとレバレッジを外し、巻き戻さなければならない。
一般には逆イールドカーブが出現すると、マーケットが冷え込み、不況がやってくる。ブルームバーグによれば、2007年以来の逆イールドの出現である。2008年のリーマンショックを思うと、この出現は不気味である。
2019年はリセッションになるのか?これを防ぐためか、ムニューシン財務長官は、米中の「貿易休戦」を2月末までとし、その期限までに中国が1兆2千億ドル(約136兆円)超の輸入を増やす意向だと述べた。米国からの液化天然ガス、農作物などの輸出を増やすものと報じられている。
実は、11月6日の中間選挙では、上院でミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンなどラストベルトで共和党が振るわなかった。2020年の大統領選挙に向けて、トランプ政権はラストベルトで雇用を増やさなければならない。136兆円のバラマキも必要だろう。
折しも、側近コーエン氏の偽証罪が確定した。コーエン氏は、大統領選挙前にトランプ氏のロシアビジネス(モスクワにトランプタワーを建設など)を仕切っていた。民主党が下院で多数を占める中、2020年のトランプ任期までには他の側近の多くの罪状が確定する可能性がある。2019年には国内政治はますます「トランプ第一主義」化するだろう。
そうした中、国際情勢は米中貿易戦争、朝鮮半島の非核化、中東情勢など多くの難問が積み上がっている。特に、米国が天然ガスやシェールオイルの輸出を増やせば、中東産油国のメルトダウンは必須である。天然ガス輸出で成り立っているカタールはOPECを離脱。サウジとロシアは原油価格下落局面で、共に減産に協力しあうようで、ロシアとイ
ランの情勢も複雑化するだろう。世界はますます不透明で混迷を深めていく。
長短金利格差については以前の記事でも警告していますので、合わせてお読みください。
気になる長短金利差の行方 リセッションはやってくるのか? https://globalstream-news.com/20180702-1/
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