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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

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Sino Forestは中国版エンロンか

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 昨日(6月21日)に、大手ヘッジファンド、ポールソン(Paulson & Co)社の新しいゴールド・ファンドについて投資家説明会に参加した。ジョン・ポールソンといえば、リーマン・ショックの時にサブプライム・ローン債権を空売りして5千億円を儲け、有名になった。そのストーリーは『世紀の空売り』や『史上最大のボロ儲け』に詳しい。

 ポールソン自身は金への投資を深めており、自己資金5億ドル(約4百億円)をポールソン・ゴールド・ファンドに投資している。今回の説明会ではこのゴールド・ファンドの運用者がインフレ懸念や金鉱株などを語った。

 金鉱株とは別に、Financial Times(FT)紙(Web版6月21日付)によれば、ポールソンが中国企業Sino Forest(サイノ・フォーレスト)株の暴落で5億ドル以上の損失を出した。じつは、友人のアジア地域に特化したヘッジファンド・マネジャーが「私どものファンドではSino Forestは一切保有していませんのでご安心下さい」というメールを送ってくるまで、私はこの会社についてほとんど知らなかった。

 FT紙などによれば、Sino Forestは時価(4月末時)60億加ドルのカナダの上場企業である。その会社が中国雲南州に保有する森林を過剰評価して資産計上していたことなどを6月2日にCarson Block弁護士がリポートした時に、Sino Forest最大の株主はポールソンだった。リポートの直後Sino Forest株は82%も急落した。

 Block弁護士はレポート冒頭で「バーナード・マドフのごとく、Sino Forestは制度的詐欺である」と強い口調で述べている。同弁護士がリサーチ部長を務めるMuddy Waters LLCはショート・セラー、つまり空売り専門のリサーチ会社である。

 Sino Forestの実態については北京在住のジャーナリスト、Carolynne Wheelerが詳しく報じている(The Globe and Mail 6月21日)。懸念すべきは、Sino Forestが中国版「エンロン、ワールドコム不正会計疑惑」の発端になるのかという点だ。

 2002年に当時隆盛を極めていたエンロンやワールドコムは、じっさい不当な会計操作により利益を水増ししていた。エンロン、ワールドコムは破たんし、その会計責任を負っていた大手アーサーアンダーソンも店じまいとなった。その年、米国株式市場は大きく下げ、日本でもMMFに元本割れが出るなど間接的ではあったが投資家に被害を与えた。

 今後、海外で上場した中国企業に関して、コーポレート・ガバナンスや契約の透明性、開示請求が増してくるのは避けられないだろう。空売りを専門とするヘッジファンドは収益の機会を狙っている。

 中国に関するもうひとつの懸念材料は、海底資源をめぐる中越戦争の可能性だ。ベトナム戦争で負けた米国が今度は対中国でベトナムを支援するとみられている。血を流す戦いまではいかないと予想されるが、軍備拡張を続ける中国に対して、米国は日本に「トモダチ」として基地問題などいろいろ要求を言ってくるだろう。

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