米国の政府閉鎖、米国デフォルト、朝鮮半島有事のパーフェクトストームとなるか?

公開日: : 最新リポート | 

 映画「パーフェクトストーム」(2000年公開)では、嵐とハリケーンがドッキングした異常な状況に巻き込まれた漁船と乗組員の運命が描かれた。そのタイトルは、複数の危機的な状況が重なり、破滅的な事態に至るという意味に使われている。例えば、2011年3/11の福島原発は、大地震、大津波、原発メルトダウンが重なる、まさに「パーフェクトストーム」だった。

 国際金融市場では「10月危機説」が噂になっている。8月はバカンスのシーズンで、学校や議会も夏休みでやや間延びしているものの、本当に危機が近づいているのだろうか。じつは、パーフェクトストームが起こりうる理由が三つある。

 第1に、「債務上限問題(デットシーリング)」が再び10月に巡ってくる。米国議会はこの3月に債務上限を引き上げる「特例措置」をとった。議会とCBO(議会予算局)は10月初から中旬にかけて再び債務上限に達すると予告している。ムニューシン財務長官はすでに上限を撤廃するように求めている。トランプ大統領とムニューシン財務長官は上限撤廃が叶わない場合には「政府閉鎖」もありうると発言している。

 この件とも関連して、9月19-20日のFOMC(連銀政策決定会議)で、金融緩和量的縮小をさらに積極的に進めるかどうか、FRBイエレン議長の発言が注目される。

 第2に、このメルマガや拙著『円消滅!』でも何度か言及しているが、今年10月辺りから「大量の米国債満期償還」がやってくる。1980年代半ばからレーガン大統領が大量の米国債を発行し、ドル高・軍備増強など「強いアメリカ」の実現に邁進した。おかげでベルリンの壁とソ連は崩壊した。あれから30年近く経って、30年債の返済期限が近づいている。トランプ大統領は借金を踏み倒すことでのし上がってきた人物である。まさかのデフォルトは選択肢の一つにあるのだろうか?

 第3に、北朝鮮や中国における地政学リスクである。トランプ氏周辺はほぼ元軍人で固められ、北に対しては「全ての選択肢」がテーブルの上にあるという傍で、ティラーソン国務長官が懸命に「外交ルートによる解決」に走り回っている。飴と鞭の策もそろそろ限界か。

 日本では終戦記念日が近づき、広島と長崎への原爆投下のニュースが流れている。日本が太平洋戦争に突き進まざるを得なかった重要な要因が、石油封鎖とABCD包囲網だった。連合国側はここまで封じ込めれば、日本は観念すると予想したのだ。しかし、日本は破れかぶれの真珠湾攻撃に出た。米国参戦を促してしまった。その結果、日本は有人核実験場と化し、焼け野原となって350万人ものが命を落とした。

 今の北朝鮮は石炭や石油へのアクセスを止められ、かつての日本と似たような状況である。日本と同様、追い詰められて暴発するかどうか?

 米国の政府閉鎖、米国デフォルト、朝鮮半島有事(軍事攻撃)が重なれば、「まさか!」の三乗で、マーケットで「パーフェクトストーム」が起こる可能性がゼロではない。

参考記事FT
“US debt ceiling fears cast shadow over Fed plans” (7/31付)
“US Treasury advisers warn of borrowing surge risks” (8/3付)

関連記事

地政学リスクと米国利上げは世界の債券市場に大混乱をまきおこす

地政学リスクが一気に高まっている。ウクライナ東部でマレーシア航空の旅客機が撃墜され、また、中

記事を読む

no image

利権が利権でなくなるとき ロシアの場合

この数日間の海外トップニュースは「プーチン大統領がホドルコフスキー元ユーコス社長を恩赦した」という報

記事を読む

no image

日本人は日本を見捨てて生きていけるのか

 今週のダイヤモンド誌「日本を見捨てる富裕層」は興味深かった。同誌が描くジャパン・リスク(円高、デフ

記事を読む

no image

トランプ大統領アジア歴訪後に忍び寄るロシアの影

 10月には懸念された危機が起こることなく、11月はトランプ大統領のアジア歴訪で始まった。トランプ大

記事を読む

拡大するか中国ヘッジファンド

このブログでも、昨年のアベノミクスの上げ潮に乗って、海外ヘッジファンドが日本市場で大きな収益

記事を読む

APEC(アジア太平洋経済協力会議)が閉会。世界は変わるか?

11月9日から11日まで、北京で数々のAPEC首脳会議が開かれた。メディアは赤い皇帝「習近平」をカメ

記事を読む

no image

ピークオイルとグリーン革命

このところアクティビストについて読んでいる。ブーン・ピケンズの自伝的エッセイ「どん底から億万長者」は

記事を読む

no image

国際金融市場の三つの悪夢

悪夢その一 再び信用バブル 日米欧の量的緩和とゼロ金利政策のおかげで、マーケットには投資資金がだぶ

記事を読む

トランプ・ラリーはいつまで続くか?

 大統領選後、米国株式市場は連日高値を続伸し、次期大統領にちなんで「トランプ・ラリー」と称されている

記事を読む

no image

テーパリング見送りの真の意味は? FRBウォッチャー山広さんへのインタビュー

今週は、18日のFRBの予想外の決定について、山広さんのお話を伺います。 山広恒夫(やまひろ つね

記事を読む

  • メルマガ じぶんちポートフォリオ ヘッジファンドニュースレター
  • 無料メルマガ

    GSニュースメルマガ

    週1回、大井幸子厳選の最新国際金融・経済情報が届く無料メルマガです。

    登録はこちらから メールアドレスを入力してお申込みください。

  • follow us in feedly rss
  • GSニュースメルマガ

    週1回、大井幸子厳選の最新国際金融・経済情報が届く無料メルマガです。

    登録はこちらから メールアドレスを入力してお申込みください。

  • PAGE TOP ↑