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国際金融アナリストの大井幸子が、金融・経済情報の配信、ヘッジファンド投資手法の解説をしていきます。

APEC(アジア太平洋経済協力会議)が閉会。世界は変わるか?

 11月9日から11日まで、北京で数々のAPEC首脳会議が開かれた。メディアは赤い皇帝「習近平」をカメラの中心に据え、あたかも中国を中心に世界が動いているかのような印象を与えた。

 11月9日に中国・ロシア間で大きな動きがあった。ロシアから天然ガスを中国に供給するガスパイプライン建設に関する合意が両国間でなされた。ロシアはウクライナ紛争で西側から経済制裁を受けているが、中国との関係は深まっている。

 11月11日には中国・韓国の自由貿易協定が締結された。6日に米国防総省が韓国に駐留している第一機甲戦闘旅団の任務を来年で終了させる方針を発表したばかりだ。中国が国内消費を拡大して内需主導型の成長を目指すときに韓国は中国への輸出を増やしたい意向だろうが、韓国の中小企業は中国企業との競争にさらされるリスクは高い。

 中国がユーラシア大陸に中華帝国を築き、朝鮮半島から南下し、さらに世界貿易拡大を目指す時、ASEAN+オーストラリア、台湾を囲む海域、そして、インド洋からアラビア半島まで米国が支配するシーレーンが横たわる。経済で覇権国家を目指す中国は軍事面で米国とどう利害を調整し合うかが課題である。

 今回のAPECでオバマ大統領の影が薄く感じられたが、日本は米中の狭間に位置し、特にASEAN市場は日本にとって重要な「ボリュームゾーン」である。ところが今、30億人もの消費者を抱えるアジア新興市場で日本企業は苦戦している。日本のグローバル競争力の低下の原因は、国内の低収益体質にあり、「経営者の2000年代の慢心が今の停滞につながっている」と森田隆大氏は分析している。

日本企業はグローバル化で生き残れるか?https://globalstream-news.com/wpgsn/tsuwamono/post-7529/

 一方、どの国が最大の輸入国かを示す世界地図(2012年)をみると、中国には日の丸が記されている。日本が中国に対するこの優越的地位をいつまで保てるだろうか。

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 日本の国力の衰えや日本企業のグローバル競争力の低下、そして国内の政治不安は大きなマイナスである。世界が米中を軸に変わろうとするなか、増税延期、解散総選挙で揺れる政局とメディア。株式市場が浮上している合間だけのアベノミクス。TPP交渉では誰が自国の国益を守ってくれるのか。

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